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ロイター 2013年 08月 17日 10:06 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE97G00O20130817
焦点:米グーグルが描く「近未来ネット」、実現へ布石着々
[サンフランシスコ 14日 ロイター] -
太陽光で稼働する気球を成層圏に送り込むプロジェクトや、公園での無料Wi─Fi接続サービスまで、米グーグルは新たなネットサービスに静かに数億ドルを費やしている。
そうしたサービスはいつか、電話会社やケーブル会社の脅威になる可能性がある。
グーグルは先に、コーヒーチェーン大手スターバックスの全米7000店舗で無料Wi─Fiサービスを提供する計画を発表。
これはいずれ、現在AT&Tが提供するサービスに取って代わることになる。
また、ネット接続が困難な遠隔地向けのインターネットサービスを想定し、
太陽光を利用した気球30個を南太平洋上の成層圏に飛ばした。
昨年には、ミズーリ州カンザスシティーで秒速1ギガビットの高速インターネットサービス「グーグル・ファイバー」を実験的に開始。
同サービスは間もなく、テキサス州オースティンやユタ州プロボでも展開される。
複数の関係筋によると、同社はカンザスシティーでの利用者の反応に満足しており、グーグル・ファイバーをさらに複数の都市に広げる可能性もあるという。
グーグルはモバイル端末に流す音楽や動画などのコンテンツを増やすに従い、それに必要な帯域の確保にも投資を増やしている。
ファイバーのようなネット接続プロジェクトは、成熟段階にある検索ビジネス以上に売上高成長に寄与するかもしれず、効果的な広告には不可欠であるネット利用者の動向把握にも役立つかもしれない。
一方でアナリストらは、グーグルは従来の得意分野から大きく外れた領域に足を踏み込もうとしており、結果として利益率が犠牲になる恐れがあると指摘する。
AT&Tやタイム・ワーナー・ケーブルなど、既存の大手インターネットサービスプロバイダーを真正面から敵に回すことにもなりかねない。
コンテンツプロバイダーは過去、インターネットサービスプロバイダーと衝突を繰り返してきた。
動画ストリーミングサービスのネットフリックスは、ケーブル会社コムキャストが自社のコンテンツだけを優遇していると非難した。
インターネットサービスプロバイダーが他社のオンラインサービスをブロックしたり遅くしたりすることを禁じた連邦規制は現在、ベライゾン・コミュニケーションズが裁判所に異議を唱えており、今後どうなるかは分からない。
グーグルでアクセスサービス部門のジェネラルマネジャーを務めるケビン・ロー氏は
「ユーザーはもっとスピードを欲しがっている。
ウェブ上で可能なことに対する人為的な上限は求めていない」
と指摘。
同氏は、カンザスシティーでのグーグル・ファイバーに手ごたえを感じているとしたが、同プロジェクトの加入者数や財務的な目標、拡張計画などの詳細については明らかにしなかった。
■<ファイバー>
高速ネットワークの構築は、電柱の利用許可の取得で地方当局の協力が必要になるなど、面倒な手続きを伴う。
また複数の業界関係者の話をまとめると、グーグル・ファイバーはまだ規模が小さく、提供されるオンラインサービスも数が限られていることで、電話会社やケーブル会社にとって差し迫った脅威ではなさそうだ。
タイム・ワーナー・ケーブルのロブ・マーカス社長は今年4月、カンザスシティーでのグーグル・ファイバーの加入者数は4000世帯を超えたにすぎないとし、
「(自社から)乗り換えた人の数は現時点では取るに足りない」
と語っていた。
一方でAT&Tは同じ4月、グーグルと同様の認可が得られれば、テキサス州オースティンで同社も毎秒1ギガビットのネットワークを構築する準備ができていると発表していた。
投資会社セコイア・キャピタルのパートナー、ビル・コグラン氏は
「既存プレーヤーたちは(グーグル・ファイバーに)どう応じるべきか答えを見つ出そうとしているのだろう。
もし規模が大きくなれば、間違いなく新種の競争相手になるからだ」
と語る。
同氏はグーグルでエンジニアリング担当の上級副社長を務めていたこともあり、グーグル・ファイバーのプロジェクトにも関わっていた。
今年の売上高が約600億ドルに達するとみられるグーグルの中でファイバーサービスが存在感を高めるには、大規模な展開が必要となる。
100万世帯の都市を想定した場合、全体の20%が月額120ドルのグーグル・ファイバーに加入したとしても、売上高は2億8800万ドルにしかならない。
全世帯の半数から契約を獲得できても年間売上高は7億2000万ドルだ。
バーンスタインのアナリストCarlos Kirjner氏は、カンザスシティーで30万世帯にファイバーを届くようにするコストは1億7000万ドルと推計。
仮に全米2000万世帯に拡大するとすれば、その費用は100億─150億ドルに膨らむとみている。
インターネット接続事業に本格参入すれば、中核のネット事業では40%台半ばを誇るグーグルの営業利益率は、短期的には圧迫されることになる。
ケーブル業界の標準的な利益率は30%台半ばだ。
グーグル株を保有するグレーディアント・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、マイケル・ビンガー氏は、ファイバーへの現在の投資水準に不満はないとした上で、もし費用のかさむ全米高速ネットワークへの投資などに急速にかじを切るなら、
「彼らがどんなビジョンを持ち、どう利益を出そうとしているか詳細を聞かなくてはならないだろう」
と語った。
■<気球>
540億ドルに上る現金資産を保有するグーグルには、ファイバーや気球などの実験プロジェクトに投資する余力は十分にある。
気球プロジェクトに取り組むのは、眼鏡型端末「グーグル・グラス」や自動運転システムなどの実験的プロジェクトに取り組む「グーグルX(エックス)」と呼ばれる部門。
6月に開始した気球プロジェクトでは、特殊なアンテナを搭載した大きさ12メートルの気球を成層圏に浮かべ、気球同士と地上に設置した機器を接続してワイヤレスネットワークを構築する。
最終的な目標は大規模な気球ネットワークを構築することだとしているが、アナリストらはこうしたネットワークの運用には、技術的にも規制面でも課題は多いと指摘する。
また一部の投資家は、こうした実験的プロジェクトはリソースの無駄遣いだと厳しい。
ニーダム・アンド・カンパニーのアナリスト、ケリー・ライス氏は
「ウォール街には、大きな収益創出が実現しないであろうプロジェクトに投資するのはやめてほしいと考える人たちがいる」
と指摘する。
ただ一方で、グーグル独自の高速ネットサービスは、動画共有サイト「ユーチューブ」など同社傘下の他のオンラインサービスには有益だとし、
「インフラの環境が整えば出来ることは多い」
とも同氏は語る。
ユーチューブは5月、月間視聴時間が60億時間に達したと発表。
事情に詳しい関係筋によれば、数年以内に1日10億時間突破を目指しているが、そこに到達するにはネットのスピードが生命線になる。
グーグルは、この件に関するコメントを差し控えた。
グーグルの実験的プロジェクトに対し、これまで投資家はおおむね寛容だったが、その背景には、世界のスマートフォンの5分の4に搭載されるまでに成長したモバイル端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」など、過去に成功したケースがあるからだ。
一方で、「グーグルTV」など鳴かず飛ばずの製品もある。
アナリストらは、グーグルはネット接続サービスに乗り出すことで、オンライン上の消費者動向をより正確に把握できるようになり、それが効果的な広告や製品作りに生かされると指摘。
調査会社ガートナーのアナリスト、イアン・キーン氏は
「ネットワークプロバイダーになってトラフィックをモニターし、人々が何をしているのかを見れば、いち早く情報をキャッチできる」
と述べた。
グーグルは、ニューヨークやサンフランシスコなどの都市で、市が管理するWi─Fiネットワークに資金を提供している。
スターバックスに提供する無料Wi─Fiサービスでは、現在店舗で使えるWi─Fiの10倍のスピードを実現するとしている。
グーグルがスターバックスとの契約を発表した時、現在のWi─Fi提供者であるAT&Tは、同社もサービスのアップグレードを申し出たとし、今後もスターバックスには各種サービスを提供していくと説明していた。
14日時点で、AT&Tからはそれ以上のコメントは得られていない。
グーグルは今後、スターバックスの独自オンラインコンテンツサービス「スターバックス・デジタル・ネットワーク」の新バージョン開発でも協力する。それによってグーグルは、音楽など自社が配信するコンテンツのプロモーションや、ターゲティング広告で有利な立場を得ることになるだろう。
フォレスター・リサーチのアナリスト、チャールズ・ゴルビン氏は
「彼らはこうした取り組みをインターネットコミュニティーのためにしているのではない。
彼らの目線の先にあるのは、これらの取り組みが作り出す全体像だ」
と語っている。
(Alexei Oreskovic記者 翻訳;宮井伸明 編集;伊藤典子)
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【気になる-Ⅴ】
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2013年8月18日日曜日
2013年8月13日火曜日
世界の観光客数ランキング、中国は3位に:国連世界観光機関
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●12日、シンガポールの有名な観光旅行ウェブサイト「relax」が国連世界観光機関(UNWTO)による世界で最も多くの観光客が訪れた国家のランキングを発表した。写真はフランス・パリ。
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年8月13日 17時7分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75505&type=0
世界の観光客数ランキング、中国は3位に―国連世界観光機関
2013年8月12日、シンガポールの有名な観光旅行ウェブサイト「relax」が国連世界観光機関(UNWTO)による世界で最も多くの観光客が訪れた国家のランキングを発表した。
2012年、中国は5770万人で、2位のアメリカ(6770万人)、1位のフランス(8330万人)に続く3位に入った。以下がトップ10のランキング。
1位、フランス・8300万人
2位、アメリカ・6700万人
3位、中国・5770万人
4位、スペイン・5770万人
5位、イタリア・4610万人
6位、トルコ・3570万人
7位、ドイツ・3040万人
8位、イギリス・2930万人
9位、ロシア・2570万人
10位、マレーシア・2470万人
(提供/人民網日本語版・翻訳/YH・編集/武藤)
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【気になる-Ⅴ】
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●12日、シンガポールの有名な観光旅行ウェブサイト「relax」が国連世界観光機関(UNWTO)による世界で最も多くの観光客が訪れた国家のランキングを発表した。写真はフランス・パリ。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年8月13日 17時7分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75505&type=0
世界の観光客数ランキング、中国は3位に―国連世界観光機関
2013年8月12日、シンガポールの有名な観光旅行ウェブサイト「relax」が国連世界観光機関(UNWTO)による世界で最も多くの観光客が訪れた国家のランキングを発表した。
2012年、中国は5770万人で、2位のアメリカ(6770万人)、1位のフランス(8330万人)に続く3位に入った。以下がトップ10のランキング。
1位、フランス・8300万人
2位、アメリカ・6700万人
3位、中国・5770万人
4位、スペイン・5770万人
5位、イタリア・4610万人
6位、トルコ・3570万人
7位、ドイツ・3040万人
8位、イギリス・2930万人
9位、ロシア・2570万人
10位、マレーシア・2470万人
(提供/人民網日本語版・翻訳/YH・編集/武藤)
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【気になる-Ⅴ】
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2013年8月6日火曜日
「ジブリの呪い」:日本の株・外為投資家が身構える放映直後の大荒れ
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●ジブリの「天空の城ラピュタ」の一場面
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ウオールストリートジャーナル 2013年 8月 02日 10:32 JST 更新
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323451804578642561445230042.html
By TAKASHI MOCHIZUKI AND KANA INAGAKI
日本の株・外為投資家が身構える「ジブリの呪い」
【東京】スタジオ・ジブリという名を耳にすれば、大抵の日本人は「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」といったヒット作を次々に生み出してきたアニメ制作会社を思い浮かべるだろう。
だが、株式と為替のトレーダーはそれとは別に陰鬱(いんうつ)なイメージも連想するはずだ。
日本テレビ系列で毎週金曜夜9時から放送される映画番組「金曜ロードShow!」では、数週間に1度ジブリのアニメ作品が放映されるが、ベテラン市場関係者によると、
放映後の東京市場で株・為替市場が大荒れになるという。
特に、円相場のアナリストはジブリのアニメが放映される2日について、最悪の事態が起きると予想している。
7月の米雇用統計がほぼ同じ時間帯に発表されるからだ。
ジブリの「天空の城ラピュタ」の放映開始は日本時間2日午後9時(米東部午前8時)で、雇用統計はそれから30分後に発表される予定。
ところがジブリ作品の放映と重なった9回の雇用統計の発表のうち8回が市場予測を下回った。
そして7回で、ドルは円に対して下落したのだ。
例えば、「魔女の宅急便」が放映された2011年7月8日の金曜日。
予想を86%下回る雇用統計が発表され、ドルが円に対して1.2%下落した。
さらに週明けの月曜日には、日経平均が前週末比0.7%安となった。
●玩具店の棚に置かれたトトロのぬいぐるみ
「ジブリが金曜にやる、それはつまりドル円相場が荒れるという認識はファクターとして持っている」
と話すのは、都内の仏系保険会社に勤務する中村維男(ゆきお)さん。
趣味で外国為替取引を手掛ける小口投資家の1人で、
「ジブリ映画の放映自体は特に見ないが、リスクヘッジという観点で、放映されるスケジュールは常にチェックしている」
という。
ジブリのアニメがテレビ放映されると株や為替相場が荒れるという都市伝説は、トレーダーの間では「ジブリの法則」あるいは「ジブリの呪い」と呼ばれている。
日テレの「天空の城ラピュタ」放映を目前に控えて、ネット上の掲示板やツイッターなどは既に、この話題についての投稿で盛り上がっているようだ。
中には、日テレは放映日と米雇用統計日が同じ日になるように放映スケジュールを仕組んでいるのではないかといった陰謀説を唱える向きもある。
日テレの広報担当者にコメントを求めたが、コメントに値しないと言われてしまった。
また、スタジオ・ジブリも、市場でそのようなうわさが広がっていることには気付いているとしながらも、やはりコメントを控えた。
ジブリの法則を信じている人々は、異様ともいえる的中度を指摘する。
日テレは2010年1月以来、ジブリ作品を24回放映してきた。
そして、3分の2近くで、放映後の最初の取引日には東京市場で円高が起こり、また約半数の場合で株価が下落した。
日本市場ウォッチャーはなぜそのようなことが起こるかについて、それぞれ持論を展開している。
商品取引情報会社の大起産業で商品アナリストをしている小菅努氏もジブリの法則を独自に分析した一人。
雇用統計の発表で不安定さが増すのは確かだが、ジブリ放映日後の数日の為替レートの振れは放映のなかった場合と比べて、著しく大きいというほどでもないという。
ただ、ジブリ放映日が雇用統計発表と重なることがよくあるため、熱狂的なアニメ・ファンの多い日本では、「心理的に」両方を結び付けて考えてしまう傾向があると指摘する。
実際、このように相場と相関性のある要因を示した話は世界中の市場のどこにでもある。
その中でも最も有名なのは太陰周期に基づいた古い相場格言だ。
それによると、満月になる前後の数日に相場の方向性が変わることが多いという。
また、トレーダーは1世紀以上にわたり、太陽とその黒点の活動を観察し、相場の転換点の測定に活用していた。
日本にも変わった説がある。
市場のブロガーは、バレンタインデーには必ずと言っていいほど日経平均株価が上昇すると指摘する。
もちろん、ジブリの法則に影響を受けていると公然と認めるプロのディーラーには、ほとんどお目にかからない。
ただし、日本の大手銀行に勤務するあるシニア・ディーラーは、同業他社の中には法則に従って「宝くじの感覚で」個人的な投資をしている者もいると、こっそりと打ち明けた。
一方、小口のデイトレーダーや気軽に為替取引を楽しんでいる個人投資家には、法則を信じ、大損を避けるためにポジションを閉じると話す人もいた。
東京に住むある主婦は「時々はこういうネタで取引するのは楽しい」と、ジブリ作品が放映される時だけは、米雇用統計が予想を下回ると読んで為替投資をする。
そして、5度のうち4度は儲けが出たという。
また、大阪を拠点としているあるデイトレーダーは、ジブリの法則のことは2006年に株関係のネット掲示版で初めて知ったと話す。
当時、「天空の城ラピュタ」放映中に「バルス」という滅びの呪文が叫ばれた時には「戦慄が走った」という。
そして、
「もしあの時にポジションを閉じていなかったら数百万円単位のロスを出していた。
翌週火曜日に再エントリーしたが、そのポジションは結局数百万の儲けを出した。
10人ほど投資仲間がいるが、ラピュタの恐ろしさを話題にしたのをよく覚えている」
と真顔で語った。
米雇用統計発表と同じ日に「金曜ロードShow!」で「天空の城ラピュタ」が放映されるのは十数年ぶり。
日本のデイトレーダーは万全の構えで放送を待っている。
』
『
ウオールストリートジャーナル 2013/08/05 3:52 pm
http://realtime.wsj.com/japan/2013/08/05/%E3%80%8C%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%AA%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87%E3%80%8D%E5%86%8D%E3%81%B3%E7%9A%84%E4%B8%AD%E3%80%81%E3%80%8C%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%80%8D%E3%83%84%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%88/?mod=WSJBlog&mod=WSJJP_Blog
「ジブリの法則」再び的中、「バルス」ツイートも新記録
2日に発表された7月の米雇用統計で非農業部門就労者数が予想より弱かったことで、
東京のトレーダーたちは再び「ジブリの法則」に直面させられた。
「呪い」と呼ばれることもあるこの法則によると、スタジオジブリの映画が日本テレビ系列で放映されている時間に米国の雇用統計が発表されると結果は市場予想を下回るという。
まさに2日に起こったのがこれだ。
ジブリの「天空の城ラピュタ」が放映されている際に発表された7月の米雇用統計は、非農業部門就労者数が前月比16万2000人の増加にとどまり、アナリストによる事前予想の18万3000人増を大きく下回った。
さらに悪いことに、米労働省は5、6月の就労者数を計2万6000人下方修正した。
「ジブリの法則」はここ数年、少なくとも米雇用統計の弱さを示す予言者として、不気味なほどその正しさが証明されている。
2010年以降、雇用統計の発表と放映が重なったのは10回で、そのうち9回で統計は予想より弱い結果を示した。
2010年以降発表された44回の雇用統計のうち、市場予想を下回ったのは全部で26回。
例外の1回は今年7月。
2010年から2012年まで毎年7月、雇用統計はジブリと重なり、結果はいずれも弱かった。
ゆえに、日本市場のウォッチャーは8月もジブリの法則があてはまらないだろうと予測していた。
クレディ・アグリコル銀行の斎藤 裕司外国為替部ディレクターは
「先週、雇用統計までの数字が良かったので、雇用統計に対するマーケットの期待値は高く、一部では20万人以上を見込んでいる向きもあった」
と述べた上で、
「全く科学的でないのはみんな知っているが、冗談半分でジブリの法則あたったね、とは話していた」
と明かした。
反応が早かったのは外国為替市場だった。
ドル相場は対円で雇用統計発表前に1ドル=100円にじりじりと近づいていたが、発表後に急落し、1ドル=99円を下回る水準まで値を下げた。
一方、米株式相場は前日終値を上回って引けた。
JRTは、先週のウォール・ストリート・ジャーナルの取材で、テレビをつけながらジブリの法則に従って取引をすると話した東京のフランス系保険会社に勤務する中村維男(ゆきお)さんに話を聞いた。
中村さんは、統計発表前に50万ドル(約4900万円)を対円で売った。
仮に法則が正しければ、雇用統計は悪く、ドルは下落するはずだからだ。
結果、中村さんは25万円の利益を手にした。
中村さんは
「ロジカルでないのは知っているが、ここまで歪みのあるアノマリーは実に興味深い」
と話す。
いくらか為替取引をしている主婦の浅野素子さん(39)は数週間前にジブリの法則を耳にし、この法則に賭けた。
浅野さんはJRTに対し
「ジブリに乗ったというのも少しある。
知っちゃったからには完全に無視できない」
と語り、取引で4万円を手にしたと付け加えた。
2日のジブリ映画はもう1つの意味でも注目に値するものだった。
ミニブログサイト「ツイッター」を介したファンの参加が記録的なものになったのだ。
「天空の城ラピュタ」には特に熱狂的なファンがいる。
こういったファンは、ヒーローとヒロインが映画で「バルス」という呪文を唱えるのと同時に、この言葉をツイートする伝統がある。
2011年に「ラピュタ」が放映された際、「バルス」は毎秒2万5088回ツイートされ、最高記録を達成。
しかし、今年の正月、3万3388回ツイートされた「あけおめ」に記録を塗り替えられた。
そして2日、ツイッターによると、「バルス」は毎秒14万3199回ツイートされ、再度記録を更新した。
ネットを介したコミュニケーションに長けているネチズン(ネット市民)のみならず、アマゾンジャパンや日本ケンタッキー・フライドチキン、シャープといった企業の公式アカウントもこの言葉をツイートした。
「バルス」は滅びの呪文だ。
ヤフージャパンはウェブサイトに「バルス」ボタンを作った。
このボタンをクリックすると、画面が粉々に砕け、スクリーンから崩れ落ちていくように見える。
ちょうど映画で「バルス」の呪文がラピュタの城の崩壊を引き起こすように。
ツイッターによると、日本国外からも投稿があったという。
山 梨県在住の和田英樹さん(32)は
「フェイスブックでバルスをした。
バルス祭りを知ったのはテレビ放映終了後だった」
と話す。
「ジブリの作品の中で、ラピュタは他の作品とは何かが違う、とにかく特別」
だと言う。
ツイッターはJRTに対し、ツイートの総数の割り出しに特別な努力をし、記録的な速さでそれができたことを明かした。
広 報担当の斉藤香氏は
「現地ではすでに夕方だったが、サンフランシスコのサーバー担当者に急ぐようお願いをした」
と述べ、
「やってくれたが、『こういう作業は本来時間がかかるんだ』と言っていた。
アメリカにとっては、これは急ぎの案件では全くないので…」
と笑いながら語った。
記者:Takashi Mochizuki
原文(英語):The Curse of Ghibli—and ‘Balus’ Fans—Strike Again
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2013/08/05/the-curse-of-ghibli-and-balus-fans-strike-again/
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【気になる-Ⅴ】
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●ジブリの「天空の城ラピュタ」の一場面
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ウオールストリートジャーナル 2013年 8月 02日 10:32 JST 更新
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323451804578642561445230042.html
By TAKASHI MOCHIZUKI AND KANA INAGAKI
日本の株・外為投資家が身構える「ジブリの呪い」
【東京】スタジオ・ジブリという名を耳にすれば、大抵の日本人は「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」といったヒット作を次々に生み出してきたアニメ制作会社を思い浮かべるだろう。
だが、株式と為替のトレーダーはそれとは別に陰鬱(いんうつ)なイメージも連想するはずだ。
日本テレビ系列で毎週金曜夜9時から放送される映画番組「金曜ロードShow!」では、数週間に1度ジブリのアニメ作品が放映されるが、ベテラン市場関係者によると、
放映後の東京市場で株・為替市場が大荒れになるという。
特に、円相場のアナリストはジブリのアニメが放映される2日について、最悪の事態が起きると予想している。
7月の米雇用統計がほぼ同じ時間帯に発表されるからだ。
ジブリの「天空の城ラピュタ」の放映開始は日本時間2日午後9時(米東部午前8時)で、雇用統計はそれから30分後に発表される予定。
ところがジブリ作品の放映と重なった9回の雇用統計の発表のうち8回が市場予測を下回った。
そして7回で、ドルは円に対して下落したのだ。
例えば、「魔女の宅急便」が放映された2011年7月8日の金曜日。
予想を86%下回る雇用統計が発表され、ドルが円に対して1.2%下落した。
さらに週明けの月曜日には、日経平均が前週末比0.7%安となった。
●玩具店の棚に置かれたトトロのぬいぐるみ
「ジブリが金曜にやる、それはつまりドル円相場が荒れるという認識はファクターとして持っている」
と話すのは、都内の仏系保険会社に勤務する中村維男(ゆきお)さん。
趣味で外国為替取引を手掛ける小口投資家の1人で、
「ジブリ映画の放映自体は特に見ないが、リスクヘッジという観点で、放映されるスケジュールは常にチェックしている」
という。
ジブリのアニメがテレビ放映されると株や為替相場が荒れるという都市伝説は、トレーダーの間では「ジブリの法則」あるいは「ジブリの呪い」と呼ばれている。
日テレの「天空の城ラピュタ」放映を目前に控えて、ネット上の掲示板やツイッターなどは既に、この話題についての投稿で盛り上がっているようだ。
中には、日テレは放映日と米雇用統計日が同じ日になるように放映スケジュールを仕組んでいるのではないかといった陰謀説を唱える向きもある。
日テレの広報担当者にコメントを求めたが、コメントに値しないと言われてしまった。
また、スタジオ・ジブリも、市場でそのようなうわさが広がっていることには気付いているとしながらも、やはりコメントを控えた。
ジブリの法則を信じている人々は、異様ともいえる的中度を指摘する。
日テレは2010年1月以来、ジブリ作品を24回放映してきた。
そして、3分の2近くで、放映後の最初の取引日には東京市場で円高が起こり、また約半数の場合で株価が下落した。
日本市場ウォッチャーはなぜそのようなことが起こるかについて、それぞれ持論を展開している。
商品取引情報会社の大起産業で商品アナリストをしている小菅努氏もジブリの法則を独自に分析した一人。
雇用統計の発表で不安定さが増すのは確かだが、ジブリ放映日後の数日の為替レートの振れは放映のなかった場合と比べて、著しく大きいというほどでもないという。
ただ、ジブリ放映日が雇用統計発表と重なることがよくあるため、熱狂的なアニメ・ファンの多い日本では、「心理的に」両方を結び付けて考えてしまう傾向があると指摘する。
実際、このように相場と相関性のある要因を示した話は世界中の市場のどこにでもある。
その中でも最も有名なのは太陰周期に基づいた古い相場格言だ。
それによると、満月になる前後の数日に相場の方向性が変わることが多いという。
また、トレーダーは1世紀以上にわたり、太陽とその黒点の活動を観察し、相場の転換点の測定に活用していた。
日本にも変わった説がある。
市場のブロガーは、バレンタインデーには必ずと言っていいほど日経平均株価が上昇すると指摘する。
もちろん、ジブリの法則に影響を受けていると公然と認めるプロのディーラーには、ほとんどお目にかからない。
ただし、日本の大手銀行に勤務するあるシニア・ディーラーは、同業他社の中には法則に従って「宝くじの感覚で」個人的な投資をしている者もいると、こっそりと打ち明けた。
一方、小口のデイトレーダーや気軽に為替取引を楽しんでいる個人投資家には、法則を信じ、大損を避けるためにポジションを閉じると話す人もいた。
東京に住むある主婦は「時々はこういうネタで取引するのは楽しい」と、ジブリ作品が放映される時だけは、米雇用統計が予想を下回ると読んで為替投資をする。
そして、5度のうち4度は儲けが出たという。
また、大阪を拠点としているあるデイトレーダーは、ジブリの法則のことは2006年に株関係のネット掲示版で初めて知ったと話す。
当時、「天空の城ラピュタ」放映中に「バルス」という滅びの呪文が叫ばれた時には「戦慄が走った」という。
そして、
「もしあの時にポジションを閉じていなかったら数百万円単位のロスを出していた。
翌週火曜日に再エントリーしたが、そのポジションは結局数百万の儲けを出した。
10人ほど投資仲間がいるが、ラピュタの恐ろしさを話題にしたのをよく覚えている」
と真顔で語った。
米雇用統計発表と同じ日に「金曜ロードShow!」で「天空の城ラピュタ」が放映されるのは十数年ぶり。
日本のデイトレーダーは万全の構えで放送を待っている。
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ウオールストリートジャーナル 2013/08/05 3:52 pm
http://realtime.wsj.com/japan/2013/08/05/%E3%80%8C%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%AA%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87%E3%80%8D%E5%86%8D%E3%81%B3%E7%9A%84%E4%B8%AD%E3%80%81%E3%80%8C%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%80%8D%E3%83%84%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%88/?mod=WSJBlog&mod=WSJJP_Blog
「ジブリの法則」再び的中、「バルス」ツイートも新記録
2日に発表された7月の米雇用統計で非農業部門就労者数が予想より弱かったことで、
東京のトレーダーたちは再び「ジブリの法則」に直面させられた。
「呪い」と呼ばれることもあるこの法則によると、スタジオジブリの映画が日本テレビ系列で放映されている時間に米国の雇用統計が発表されると結果は市場予想を下回るという。
まさに2日に起こったのがこれだ。
ジブリの「天空の城ラピュタ」が放映されている際に発表された7月の米雇用統計は、非農業部門就労者数が前月比16万2000人の増加にとどまり、アナリストによる事前予想の18万3000人増を大きく下回った。
さらに悪いことに、米労働省は5、6月の就労者数を計2万6000人下方修正した。
「ジブリの法則」はここ数年、少なくとも米雇用統計の弱さを示す予言者として、不気味なほどその正しさが証明されている。
2010年以降、雇用統計の発表と放映が重なったのは10回で、そのうち9回で統計は予想より弱い結果を示した。
2010年以降発表された44回の雇用統計のうち、市場予想を下回ったのは全部で26回。
例外の1回は今年7月。
2010年から2012年まで毎年7月、雇用統計はジブリと重なり、結果はいずれも弱かった。
ゆえに、日本市場のウォッチャーは8月もジブリの法則があてはまらないだろうと予測していた。
クレディ・アグリコル銀行の斎藤 裕司外国為替部ディレクターは
「先週、雇用統計までの数字が良かったので、雇用統計に対するマーケットの期待値は高く、一部では20万人以上を見込んでいる向きもあった」
と述べた上で、
「全く科学的でないのはみんな知っているが、冗談半分でジブリの法則あたったね、とは話していた」
と明かした。
反応が早かったのは外国為替市場だった。
ドル相場は対円で雇用統計発表前に1ドル=100円にじりじりと近づいていたが、発表後に急落し、1ドル=99円を下回る水準まで値を下げた。
一方、米株式相場は前日終値を上回って引けた。
JRTは、先週のウォール・ストリート・ジャーナルの取材で、テレビをつけながらジブリの法則に従って取引をすると話した東京のフランス系保険会社に勤務する中村維男(ゆきお)さんに話を聞いた。
中村さんは、統計発表前に50万ドル(約4900万円)を対円で売った。
仮に法則が正しければ、雇用統計は悪く、ドルは下落するはずだからだ。
結果、中村さんは25万円の利益を手にした。
中村さんは
「ロジカルでないのは知っているが、ここまで歪みのあるアノマリーは実に興味深い」
と話す。
いくらか為替取引をしている主婦の浅野素子さん(39)は数週間前にジブリの法則を耳にし、この法則に賭けた。
浅野さんはJRTに対し
「ジブリに乗ったというのも少しある。
知っちゃったからには完全に無視できない」
と語り、取引で4万円を手にしたと付け加えた。
2日のジブリ映画はもう1つの意味でも注目に値するものだった。
ミニブログサイト「ツイッター」を介したファンの参加が記録的なものになったのだ。
「天空の城ラピュタ」には特に熱狂的なファンがいる。
こういったファンは、ヒーローとヒロインが映画で「バルス」という呪文を唱えるのと同時に、この言葉をツイートする伝統がある。
2011年に「ラピュタ」が放映された際、「バルス」は毎秒2万5088回ツイートされ、最高記録を達成。
しかし、今年の正月、3万3388回ツイートされた「あけおめ」に記録を塗り替えられた。
そして2日、ツイッターによると、「バルス」は毎秒14万3199回ツイートされ、再度記録を更新した。
ネットを介したコミュニケーションに長けているネチズン(ネット市民)のみならず、アマゾンジャパンや日本ケンタッキー・フライドチキン、シャープといった企業の公式アカウントもこの言葉をツイートした。
「バルス」は滅びの呪文だ。
ヤフージャパンはウェブサイトに「バルス」ボタンを作った。
このボタンをクリックすると、画面が粉々に砕け、スクリーンから崩れ落ちていくように見える。
ちょうど映画で「バルス」の呪文がラピュタの城の崩壊を引き起こすように。
ツイッターによると、日本国外からも投稿があったという。
山 梨県在住の和田英樹さん(32)は
「フェイスブックでバルスをした。
バルス祭りを知ったのはテレビ放映終了後だった」
と話す。
「ジブリの作品の中で、ラピュタは他の作品とは何かが違う、とにかく特別」
だと言う。
ツイッターはJRTに対し、ツイートの総数の割り出しに特別な努力をし、記録的な速さでそれができたことを明かした。
広 報担当の斉藤香氏は
「現地ではすでに夕方だったが、サンフランシスコのサーバー担当者に急ぐようお願いをした」
と述べ、
「やってくれたが、『こういう作業は本来時間がかかるんだ』と言っていた。
アメリカにとっては、これは急ぎの案件では全くないので…」
と笑いながら語った。
記者:Takashi Mochizuki
原文(英語):The Curse of Ghibli—and ‘Balus’ Fans—Strike Again
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2013/08/05/the-curse-of-ghibli-and-balus-fans-strike-again/
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【気になる-Ⅴ】
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2013年8月5日月曜日
誰か世界を止めてくれ:英国が飛び降りたがっている――
_
『
JB Press 2013.08.05(月) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38386
世界に対して門戸を閉ざす英国
(2013年8月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
世界を止めてくれ。英国が飛び降りたがっている――。
2012年のオリンピックは、多様性を祝う輝かしい祭典だった。
ロンドンは、他の追随を許さない世界的なハブであることを示した。
オリンピックに出場した自国のヒーローたち
――モハメド・ファラーやジェシカ・エニスのようなアスリート
――は、英国人気質が持つ新しい包容力のあるものの見方を証明した。
これは当時の話だ。
あれから1年、英国の政界ではドアがバタンと閉まる音が響き渡っている。
外国人に対するメッセージは悲しくなるほど単純だ。
来るな、というものだ。
■「外国人は来るな」
デビッド・キャメロン首相率いる保守党は、英国が欧州との関与を断つことにつながりかねない国民投票を約束している。
こうした保守党内の欧州懐疑派が1つの選択肢を示した時代もあった。
欧州を見限り、世界に目を向けるという選択肢だ。
もはやそれもなくなった。
バリケードは、ありとあらゆる人に対して築かれようとしている。
旅行者、学生、企業幹部――。
誰もが不法移民の志望者というわけだ。
国境警備を担当する部局である内務省は先日、政府の政策の原動力になっている性質の悪いポピュリズムの片鱗を見せた。
広告用掲示板を乗せたトラックが民族的に多様なロンドンの各地域に配備された。
そのメッセージは何か?
不法移民は「国に帰るか、さもなければ逮捕されることになる」というものだ。
連立政権のジュニアパートナーである自由民主党は、この取り組みは馬鹿げており侮辱的だと抗議した。
首相官邸はそれにも動じず、このキャンペーンが全国的に展開されるかもしれないと述べた。
内務省は、「リスクの高い」国々からの旅行者に対し、英国に入国するために「3000ポンド」の預託金の支払いを求めることも計画している。
その目的は「(ビザの期限を越えた)長期滞在」を抑制し、旅行者が医療を必要とする場合のコストを回収することだ、と内務省は話している。
■「白人」の多い国は対象外
対象となった国は、
インド、ナイジェリア、ケニア、パキスタン、スリランカ、バングラデシュだ。
こうした国々は、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった圧倒的に「白人」が多い国が免除されていることに気付いている。
もっと身近なところでは、
ルーマニア人とブルガリア人の入国を制限
することも政府は約束している。
こうした欧州連合(EU)諸国の国民は、暫定的な制限が来年終了する時にEU域内を自由に動けるようになる。
英国のタブロイド紙は既に、多数の「給付金目的の旅行者」に関するホラーストーリーに満ちている。
移民の方が英国人より福利厚生を要求する可能性が小さいことは、この際気にしないらしい。
政府は、ポピュリストたちの大衆受けを狙っている。
首相は、かつて自身のトレードマークにしていた「大きな社会」の包括性を放棄してしまっている。
苦境に喘ぐ英国独立党の国家主義者たちは、右派の間で保守党を出し抜いた。
景気低迷と緊縮財政が国民の不満をかき立てている。
キャメロン首相はかつて、英国独立党の支持者を「隠れ人種差別主義者」と呼んだが、今は彼らの機嫌を取っている。
被害妄想の空気をかき立てているのは、マイグレーション・ウォッチUKのような圧力団体だ。
この組織のトップを務める元外交官のアンドリュー・グリーン氏は、今世紀後半には「白い英国人」(グリーン氏の表現)が少数派になる可能性があるとする論文を引き合いに出す。
「だから何なのだ?」と言う人もいるだろう。
ファラー選手やエニス選手――1人はソマリア出身で、もう1人は部分的にカリブ人の血を受け継いでいる――が大声援を受けた時、英国が国のアンデンティティーの目印として肌の色を置き忘れてきたというのは、もっともな想定のように思えた。
2人が金メダルを取った時、彼らは「茶色い英国人」だと不満の声を聞いた覚えは筆者にはない。
だが悲しいかな、そうした勝利の喜びが、イングランドのホームカウンティー(ロンドン近郊の諸州)にあるサロンバーの外国人嫌いに風穴を開けることはなかった。
■正確な数字も把握できないめちゃくちゃな移民政策
英国は、理にかなった効果的な移民政策を切に必要としている。
人々は、制度が公正で効率的であり、地域社会にとって不当に破壊的でないことを望んでいる。
最後の労働党政権は、EU加盟後の旧共産国からの入国者の数をあきれるほど過小評価した。
門戸開放政策が甘い管理と相まって移民が制御不能になったという見方が広がった。
だが、現政府にとっては、道徳の危機的状況とポピュリスト的なジェスチャーが、制度を掌握できない自らの失敗から注意をそらすものになっている。
そして、非常に多くのやる気のない不適格な若者を生み出している国内教育制度の失敗に対処するよりも、移民が職に就いていると非難する方がどれだけ簡単なことか分からない。
つい先日、英議会のある委員会は、正式な移民の数がどのみち「推測」に基づいていると話していた。
出国する訪問者に対するパスポートやビザのチェックがない状態では、それもほとんど驚くには当たらない。
こうした推測によると、正味の移民の数は非常に急速に減少しているという。
これは恐らく本当だろう。
だが、減少は、もっぱら外国からの留学生に対する取り締まりに反応したものだ。
カナダや米国、オーストラリアといった国々は、大半が帰国するという明白な理由から、学生を永続的な移民とは見なしていない。
一方、英国のビザ制度は混迷を深めており、ロンドンのヒースロー空港での入国管理は目を覆うばかりで、30万の亡命や移民の案件は未解決のままだ。
正味の移民の数を数万人台前半まで減らすという公式目標は矛盾だらけだ。
この目標は、どれくらいの数の英国人が引退してスペインの太陽の下へ移住するかによって、ブラジルや米国からの入国者の数が増えたり減ったりすると想定している。
ポーランド人の配管工が帰国すれば、英国はより多くのインド人技師を受け入れることができる――そしてその逆もしかりだ。
■国家としての自信喪失
このような愚かさの向こう側には、はるかに大きな問題が横たわっている。
英国はかつて、進歩的で開かれた国際制度の擁護者だった。
今は、世界に対して、自らを恨みがましい犠牲者として定義し直している。
欧州から手を引いたり、移民を禁止したりしようとする動きは、国家の自信が崩壊していることを物語っている。
そして、その経済的結末は壊滅的なものだろう。
まともな考えを持った、例えば、中国、インド、ブラジルの一体どんなビジネスリーダーが、彼らがEUにアクセスするのを拒み、自国の人々を歓迎されない客だと言っている国に投資するだろうか?
英国は今まさに飛び降りようとしているかもしれないが、それでも世界は回り続けるのだ。
By Phillip Stephens
© The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.
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【気になる-Ⅴ】
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JB Press 2013.08.05(月) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38386
世界に対して門戸を閉ざす英国
(2013年8月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
世界を止めてくれ。英国が飛び降りたがっている――。
2012年のオリンピックは、多様性を祝う輝かしい祭典だった。
ロンドンは、他の追随を許さない世界的なハブであることを示した。
オリンピックに出場した自国のヒーローたち
――モハメド・ファラーやジェシカ・エニスのようなアスリート
――は、英国人気質が持つ新しい包容力のあるものの見方を証明した。
これは当時の話だ。
あれから1年、英国の政界ではドアがバタンと閉まる音が響き渡っている。
外国人に対するメッセージは悲しくなるほど単純だ。
来るな、というものだ。
■「外国人は来るな」
デビッド・キャメロン首相率いる保守党は、英国が欧州との関与を断つことにつながりかねない国民投票を約束している。
こうした保守党内の欧州懐疑派が1つの選択肢を示した時代もあった。
欧州を見限り、世界に目を向けるという選択肢だ。
もはやそれもなくなった。
バリケードは、ありとあらゆる人に対して築かれようとしている。
旅行者、学生、企業幹部――。
誰もが不法移民の志望者というわけだ。
国境警備を担当する部局である内務省は先日、政府の政策の原動力になっている性質の悪いポピュリズムの片鱗を見せた。
広告用掲示板を乗せたトラックが民族的に多様なロンドンの各地域に配備された。
そのメッセージは何か?
不法移民は「国に帰るか、さもなければ逮捕されることになる」というものだ。
連立政権のジュニアパートナーである自由民主党は、この取り組みは馬鹿げており侮辱的だと抗議した。
首相官邸はそれにも動じず、このキャンペーンが全国的に展開されるかもしれないと述べた。
内務省は、「リスクの高い」国々からの旅行者に対し、英国に入国するために「3000ポンド」の預託金の支払いを求めることも計画している。
その目的は「(ビザの期限を越えた)長期滞在」を抑制し、旅行者が医療を必要とする場合のコストを回収することだ、と内務省は話している。
■「白人」の多い国は対象外
対象となった国は、
インド、ナイジェリア、ケニア、パキスタン、スリランカ、バングラデシュだ。
こうした国々は、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった圧倒的に「白人」が多い国が免除されていることに気付いている。
もっと身近なところでは、
ルーマニア人とブルガリア人の入国を制限
することも政府は約束している。
こうした欧州連合(EU)諸国の国民は、暫定的な制限が来年終了する時にEU域内を自由に動けるようになる。
英国のタブロイド紙は既に、多数の「給付金目的の旅行者」に関するホラーストーリーに満ちている。
移民の方が英国人より福利厚生を要求する可能性が小さいことは、この際気にしないらしい。
政府は、ポピュリストたちの大衆受けを狙っている。
首相は、かつて自身のトレードマークにしていた「大きな社会」の包括性を放棄してしまっている。
苦境に喘ぐ英国独立党の国家主義者たちは、右派の間で保守党を出し抜いた。
景気低迷と緊縮財政が国民の不満をかき立てている。
キャメロン首相はかつて、英国独立党の支持者を「隠れ人種差別主義者」と呼んだが、今は彼らの機嫌を取っている。
被害妄想の空気をかき立てているのは、マイグレーション・ウォッチUKのような圧力団体だ。
この組織のトップを務める元外交官のアンドリュー・グリーン氏は、今世紀後半には「白い英国人」(グリーン氏の表現)が少数派になる可能性があるとする論文を引き合いに出す。
「だから何なのだ?」と言う人もいるだろう。
ファラー選手やエニス選手――1人はソマリア出身で、もう1人は部分的にカリブ人の血を受け継いでいる――が大声援を受けた時、英国が国のアンデンティティーの目印として肌の色を置き忘れてきたというのは、もっともな想定のように思えた。
2人が金メダルを取った時、彼らは「茶色い英国人」だと不満の声を聞いた覚えは筆者にはない。
だが悲しいかな、そうした勝利の喜びが、イングランドのホームカウンティー(ロンドン近郊の諸州)にあるサロンバーの外国人嫌いに風穴を開けることはなかった。
■正確な数字も把握できないめちゃくちゃな移民政策
英国は、理にかなった効果的な移民政策を切に必要としている。
人々は、制度が公正で効率的であり、地域社会にとって不当に破壊的でないことを望んでいる。
最後の労働党政権は、EU加盟後の旧共産国からの入国者の数をあきれるほど過小評価した。
門戸開放政策が甘い管理と相まって移民が制御不能になったという見方が広がった。
だが、現政府にとっては、道徳の危機的状況とポピュリスト的なジェスチャーが、制度を掌握できない自らの失敗から注意をそらすものになっている。
そして、非常に多くのやる気のない不適格な若者を生み出している国内教育制度の失敗に対処するよりも、移民が職に就いていると非難する方がどれだけ簡単なことか分からない。
つい先日、英議会のある委員会は、正式な移民の数がどのみち「推測」に基づいていると話していた。
出国する訪問者に対するパスポートやビザのチェックがない状態では、それもほとんど驚くには当たらない。
こうした推測によると、正味の移民の数は非常に急速に減少しているという。
これは恐らく本当だろう。
だが、減少は、もっぱら外国からの留学生に対する取り締まりに反応したものだ。
カナダや米国、オーストラリアといった国々は、大半が帰国するという明白な理由から、学生を永続的な移民とは見なしていない。
一方、英国のビザ制度は混迷を深めており、ロンドンのヒースロー空港での入国管理は目を覆うばかりで、30万の亡命や移民の案件は未解決のままだ。
正味の移民の数を数万人台前半まで減らすという公式目標は矛盾だらけだ。
この目標は、どれくらいの数の英国人が引退してスペインの太陽の下へ移住するかによって、ブラジルや米国からの入国者の数が増えたり減ったりすると想定している。
ポーランド人の配管工が帰国すれば、英国はより多くのインド人技師を受け入れることができる――そしてその逆もしかりだ。
■国家としての自信喪失
このような愚かさの向こう側には、はるかに大きな問題が横たわっている。
英国はかつて、進歩的で開かれた国際制度の擁護者だった。
今は、世界に対して、自らを恨みがましい犠牲者として定義し直している。
欧州から手を引いたり、移民を禁止したりしようとする動きは、国家の自信が崩壊していることを物語っている。
そして、その経済的結末は壊滅的なものだろう。
まともな考えを持った、例えば、中国、インド、ブラジルの一体どんなビジネスリーダーが、彼らがEUにアクセスするのを拒み、自国の人々を歓迎されない客だと言っている国に投資するだろうか?
英国は今まさに飛び降りようとしているかもしれないが、それでも世界は回り続けるのだ。
By Phillip Stephens
© The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. Please do not cut and
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【気になる-Ⅴ】
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2013年8月2日金曜日
アニメを大産業にした日本:海外市場の競争の激化、深刻な赤字
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●7月31日、中国経済は今、モデルチェンジ・アップグレードの重要な時期に差し掛かっており、政府はサービス貿易の大々的な発展を、未来の発展の重点としている。写真は湖北省武漢市で開かれたアニメ・漫画関連のイベント。
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年8月1日 22時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75016&type=0
アニメを大産業にした日本、中国は経験と課題を参考に―中国メディア
2013年7月31日、中国経済は今、モデルチェンジ・アップグレードの重要な時期に差し掛かっており、政府はサービス貿易の大々的な発展を、未来の発展の重点としている。
そのうちアニメ貿易の成長の潜在力は軽視できないものだ。
中国のアニメ産業は、2004年から始まった。
中国は2011年に日本を抜き、世界最大のアニメ生産国の玉座に輝いた。
中国人漫画家の作品も、日本の主流マンガ市場に進出した。
経済参考報が伝えた。
日本は「アニメ王国」として知られ、そのアニメ製品の生産高は世界の60%を占め、テレビで日本のアニメを放映したことのある国は100カ国を超える。
日本のアニメ産業の最新状況はどうなっているのだろうか?
どのような新しい特徴が生まれているのだろうか?
日本のアニメ産業の発展に影響する要素には何があるだろうか?
中国企業はそこからどのような有益な経験を学べるだろうか?
◆日本のアニメ市場の規模が縮小、アニメの商品化が進む
日本のアニメ産業は狭義と広義の2種類の市場規模に分かれる。
狭義のアニメ市場規模は、アニメ制作会社の売上高、広義のアニメ市場規模は顧客がアニメ関連商品に支払った金額に基づき統計をとる。
日本の狭義のアニメ市場規模は2005年に2314億円というピークに達し、その後は低迷を続け、2010年には1528億円と、大幅に縮小した。
◆広義の市場規模、大幅な縮小は無し
日本の広義のアニメ市場規模を観察すれば、状況がそれほど悲観的なものではないことが分かる。
日本のアニメ産業の市場規模のピークは2008年に現れ、1兆4058億円に達した。
2010年は1兆3205億円となり、依然として2005年の1兆2916億円を上回った。
広義のアニメ市場規模には、小幅の縮小しか生じていないことが分かる。
◆アニメ作品の商品化
日本のアニメ市場規模はやや縮小したが、アニメ作品の商品化が日増しに強化されていることに注目すべきだ。
アニメキャラクター商品の小売市場規模は、2010年に前年比9.2%増の6421億円に達し、過去最高を記録した。
◆制作技術・市場開拓・融資・知的財産権の保護
経済のグローバル化と技術の急速な発展に伴い、日本アニメ産業は制作技術・市場開拓・融資制度・知的財産権の保護の面で、次の新たな特徴を見せている。
(1).アニメ制作、情報・通信技術を融合
1990年代、パソコンの普及とアニメ制作ソフトの開発に伴い、日本のアニメはデジタル化制作水準を大幅に引き上げた。
(2).二次利用市場の発展
アニメ作品は一次利用と二次利用という、二つの形態に分かれる。
一次利用市場は主に、テレビ放送・映画公開によりアニメ創作の目的に達する。
二次利用市場は、アニメ作品とアニメ産業チェーンにおけるアニメ編集、DVD制作、関連商品の開発を一体化し、アニメの開発利用を深化する。
日本では現在、マンガ出版とアニメ制作のみに依存する一次利用市場において、すでに画期的な進展が実現できなくなっている。
一方で二次利用市場はより多くの収入をもたらし、特にアニメ関連商品の売上高は高額にのぼる。
アニメ作品の二次利用市場は、日本のアニメ産業に新たな活力をもたらすと言える。
(3).製作委員会、リスク分担のメカニズム
アニメ産業はハイリスクの産業だ。
例えば、テレビ向けの21分間のアニメ作品は、100人が3カ月以上をかけて制作する必要がある。
仮にアニメ作品が視聴者に受け入れられなければ、制作会社はコストを取り戻せず、さらには大量の負債を背負い込む可能性がある。
1990年代になると、アニメ制作で分担するリスクを下げるため、
日本で独創的な製作委員会方式が制定された。
製作委員会方式のメリットはこうだ。
▽.その他のアニメ制作会社に投資を行っている企業にとっては、一つのアニメ作品への投資額を大幅に減らすことで、より多くの作品に投資する選択の余地が残せる。
▽.アニメ制作会社にとっては、制作の経費が工面しやすくなる。製作委員会方式の導入により、日本では近年独立局系アニメ作品が増加している。
(4).アニメ作品の知的財産権の保護を重視
アニメの主な収入源は、アニメの関連商品だ。
ゆえに知的財産権の保護が十分でなければ、海賊版が正規版の市場シェアを奪い、アニメ映画の著作権を侵害し、関係者が得るべき報酬を得られなくなる。
日本は近年、知的財産権の保護に全力を尽くしており、国内のアニメ著作権保護の法制度を整え、さらに頻繁に国際提携を進め、アニメ産業の健全な発展を保証している。
◆日本アニメ産業の問題点
日本の狭義のアニメ産業市場規模は2005年以降に低迷を続けている。
市場競争の激化、アニメ制作の大量の外注、アニメ人材の不足、経営赤字などが、その根本的な原因と見られる。
(1).海外市場の競争の激化
アニメ大国の米国は、日本のアニメ産業のライバルだ。
米国の他に、韓国や中国といったアニメ新興国の急発展も、日本のアニメ産業に激しい競争を強いている。
同時に日本のアニメ産業そのものが抱える問題もまた、さらなる発展を制約し始めている。
(2).アニメ産業、制作の空洞化
多くのアニメ企業は近年、制作費を削減するため、アニメ原作の作図や着色といった初期制作を中韓や東南アジア諸国の制作会社に外注している。
多くのアニメ作品の初期段階の業務が、中国、韓国、フィリピンなどのアジア諸国に流出しており、海外への依存度が高まっている。
この長期的な外注により、日本本土のアニメ制作者、特に若者は基礎的な業務の訓練機会が減少し、アニメ制作の堅固な基礎を築けず、結果的にアニメ産業の制作の空洞化が生じている。
(3).低給与、アニメ人材が流出
日本のアニメ制作会社の多くは中小企業だ。
中小企業基盤整備機構が2006年に626社を対象に実施した調査によると、資本金5000万円未満のアニメ制作会社が全体の88%を、従業員が100人未満の会社が90.6%を占め、ほとんどが中小企業だった。
アニメ制作の中小企業は熾烈な競争の中で、自社の従業員をコスト削減の対象とせざるを得ず、結果的にアニメ制作者が安月給となっている。
(4),深刻な赤字
▽.まずマンガが出版され、そのマンガがアニメ化し、テレビで放送される。
▽.制作者は作品の著作権を持ち、これを対外的に販売し、アニメシリーズの関連商品を生産・販売する。
▽.アニメ作品の著作権の販売で利益を獲得すると、制作者はアニメ商品のさらなる開発を進め、最終的に新たなアニメを開発する。
このような良性の循環が存在するが、近年はアニメ制作会社が雨後の竹の子のように出現している。
またアニメ作品がテレビや映画で発表される時間は限られているため、アニメ制作会社は放送時間を巡り熾烈な競争を繰り広げている。
多くの企業は、製作委員会もしくはテレビ局から突きつけられた、厳しい条件をのまざるを得ない。
アニメ作品への投資とその生産高は比例せず、アニメ制作チームの積極性がそがれている。
中国のアニメ産業は近年急速に発展している。
日本のアニメ産業の市場規模はやや縮小しており、新たな問題が表面化している。
しかし中国は、日本アニメ産業がブランド樹立、制度のイノベーション、資金回収、市場開拓、キャラクターのPR、アニメの二次利用で、中国が真剣に学習し参考にすべき、多くの貴重な経験を持っていることを認識しなければならない。
(提供/人民網日本語版・翻訳/ YF・編集/武藤)
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【気になる-Ⅴ】
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●7月31日、中国経済は今、モデルチェンジ・アップグレードの重要な時期に差し掛かっており、政府はサービス貿易の大々的な発展を、未来の発展の重点としている。写真は湖北省武漢市で開かれたアニメ・漫画関連のイベント。
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年8月1日 22時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75016&type=0
アニメを大産業にした日本、中国は経験と課題を参考に―中国メディア
2013年7月31日、中国経済は今、モデルチェンジ・アップグレードの重要な時期に差し掛かっており、政府はサービス貿易の大々的な発展を、未来の発展の重点としている。
そのうちアニメ貿易の成長の潜在力は軽視できないものだ。
中国のアニメ産業は、2004年から始まった。
中国は2011年に日本を抜き、世界最大のアニメ生産国の玉座に輝いた。
中国人漫画家の作品も、日本の主流マンガ市場に進出した。
経済参考報が伝えた。
日本は「アニメ王国」として知られ、そのアニメ製品の生産高は世界の60%を占め、テレビで日本のアニメを放映したことのある国は100カ国を超える。
日本のアニメ産業の最新状況はどうなっているのだろうか?
どのような新しい特徴が生まれているのだろうか?
日本のアニメ産業の発展に影響する要素には何があるだろうか?
中国企業はそこからどのような有益な経験を学べるだろうか?
◆日本のアニメ市場の規模が縮小、アニメの商品化が進む
日本のアニメ産業は狭義と広義の2種類の市場規模に分かれる。
狭義のアニメ市場規模は、アニメ制作会社の売上高、広義のアニメ市場規模は顧客がアニメ関連商品に支払った金額に基づき統計をとる。
日本の狭義のアニメ市場規模は2005年に2314億円というピークに達し、その後は低迷を続け、2010年には1528億円と、大幅に縮小した。
◆広義の市場規模、大幅な縮小は無し
日本の広義のアニメ市場規模を観察すれば、状況がそれほど悲観的なものではないことが分かる。
日本のアニメ産業の市場規模のピークは2008年に現れ、1兆4058億円に達した。
2010年は1兆3205億円となり、依然として2005年の1兆2916億円を上回った。
広義のアニメ市場規模には、小幅の縮小しか生じていないことが分かる。
◆アニメ作品の商品化
日本のアニメ市場規模はやや縮小したが、アニメ作品の商品化が日増しに強化されていることに注目すべきだ。
アニメキャラクター商品の小売市場規模は、2010年に前年比9.2%増の6421億円に達し、過去最高を記録した。
◆制作技術・市場開拓・融資・知的財産権の保護
経済のグローバル化と技術の急速な発展に伴い、日本アニメ産業は制作技術・市場開拓・融資制度・知的財産権の保護の面で、次の新たな特徴を見せている。
(1).アニメ制作、情報・通信技術を融合
1990年代、パソコンの普及とアニメ制作ソフトの開発に伴い、日本のアニメはデジタル化制作水準を大幅に引き上げた。
(2).二次利用市場の発展
アニメ作品は一次利用と二次利用という、二つの形態に分かれる。
一次利用市場は主に、テレビ放送・映画公開によりアニメ創作の目的に達する。
二次利用市場は、アニメ作品とアニメ産業チェーンにおけるアニメ編集、DVD制作、関連商品の開発を一体化し、アニメの開発利用を深化する。
日本では現在、マンガ出版とアニメ制作のみに依存する一次利用市場において、すでに画期的な進展が実現できなくなっている。
一方で二次利用市場はより多くの収入をもたらし、特にアニメ関連商品の売上高は高額にのぼる。
アニメ作品の二次利用市場は、日本のアニメ産業に新たな活力をもたらすと言える。
(3).製作委員会、リスク分担のメカニズム
アニメ産業はハイリスクの産業だ。
例えば、テレビ向けの21分間のアニメ作品は、100人が3カ月以上をかけて制作する必要がある。
仮にアニメ作品が視聴者に受け入れられなければ、制作会社はコストを取り戻せず、さらには大量の負債を背負い込む可能性がある。
1990年代になると、アニメ制作で分担するリスクを下げるため、
日本で独創的な製作委員会方式が制定された。
製作委員会方式のメリットはこうだ。
▽.その他のアニメ制作会社に投資を行っている企業にとっては、一つのアニメ作品への投資額を大幅に減らすことで、より多くの作品に投資する選択の余地が残せる。
▽.アニメ制作会社にとっては、制作の経費が工面しやすくなる。製作委員会方式の導入により、日本では近年独立局系アニメ作品が増加している。
(4).アニメ作品の知的財産権の保護を重視
アニメの主な収入源は、アニメの関連商品だ。
ゆえに知的財産権の保護が十分でなければ、海賊版が正規版の市場シェアを奪い、アニメ映画の著作権を侵害し、関係者が得るべき報酬を得られなくなる。
日本は近年、知的財産権の保護に全力を尽くしており、国内のアニメ著作権保護の法制度を整え、さらに頻繁に国際提携を進め、アニメ産業の健全な発展を保証している。
◆日本アニメ産業の問題点
日本の狭義のアニメ産業市場規模は2005年以降に低迷を続けている。
市場競争の激化、アニメ制作の大量の外注、アニメ人材の不足、経営赤字などが、その根本的な原因と見られる。
(1).海外市場の競争の激化
アニメ大国の米国は、日本のアニメ産業のライバルだ。
米国の他に、韓国や中国といったアニメ新興国の急発展も、日本のアニメ産業に激しい競争を強いている。
同時に日本のアニメ産業そのものが抱える問題もまた、さらなる発展を制約し始めている。
(2).アニメ産業、制作の空洞化
多くのアニメ企業は近年、制作費を削減するため、アニメ原作の作図や着色といった初期制作を中韓や東南アジア諸国の制作会社に外注している。
多くのアニメ作品の初期段階の業務が、中国、韓国、フィリピンなどのアジア諸国に流出しており、海外への依存度が高まっている。
この長期的な外注により、日本本土のアニメ制作者、特に若者は基礎的な業務の訓練機会が減少し、アニメ制作の堅固な基礎を築けず、結果的にアニメ産業の制作の空洞化が生じている。
(3).低給与、アニメ人材が流出
日本のアニメ制作会社の多くは中小企業だ。
中小企業基盤整備機構が2006年に626社を対象に実施した調査によると、資本金5000万円未満のアニメ制作会社が全体の88%を、従業員が100人未満の会社が90.6%を占め、ほとんどが中小企業だった。
アニメ制作の中小企業は熾烈な競争の中で、自社の従業員をコスト削減の対象とせざるを得ず、結果的にアニメ制作者が安月給となっている。
(4),深刻な赤字
▽.まずマンガが出版され、そのマンガがアニメ化し、テレビで放送される。
▽.制作者は作品の著作権を持ち、これを対外的に販売し、アニメシリーズの関連商品を生産・販売する。
▽.アニメ作品の著作権の販売で利益を獲得すると、制作者はアニメ商品のさらなる開発を進め、最終的に新たなアニメを開発する。
このような良性の循環が存在するが、近年はアニメ制作会社が雨後の竹の子のように出現している。
またアニメ作品がテレビや映画で発表される時間は限られているため、アニメ制作会社は放送時間を巡り熾烈な競争を繰り広げている。
多くの企業は、製作委員会もしくはテレビ局から突きつけられた、厳しい条件をのまざるを得ない。
アニメ作品への投資とその生産高は比例せず、アニメ制作チームの積極性がそがれている。
中国のアニメ産業は近年急速に発展している。
日本のアニメ産業の市場規模はやや縮小しており、新たな問題が表面化している。
しかし中国は、日本アニメ産業がブランド樹立、制度のイノベーション、資金回収、市場開拓、キャラクターのPR、アニメの二次利用で、中国が真剣に学習し参考にすべき、多くの貴重な経験を持っていることを認識しなければならない。
(提供/人民網日本語版・翻訳/ YF・編集/武藤)
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