2013年8月18日日曜日

米グーグルが描く「近未来ネット」:実現へ布石着々

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ロイター 2013年 08月 17日 10:06 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE97G00O20130817

焦点:米グーグルが描く「近未来ネット」、実現へ布石着々

[サンフランシスコ 14日 ロイター] -
 太陽光で稼働する気球を成層圏に送り込むプロジェクトや、公園での無料Wi─Fi接続サービスまで、米グーグルは新たなネットサービスに静かに数億ドルを費やしている。
 そうしたサービスはいつか、電話会社やケーブル会社の脅威になる可能性がある。

 グーグルは先に、コーヒーチェーン大手スターバックスの全米7000店舗で無料Wi─Fiサービスを提供する計画を発表。
 これはいずれ、現在AT&Tが提供するサービスに取って代わることになる。
 また、ネット接続が困難な遠隔地向けのインターネットサービスを想定し、
 太陽光を利用した気球30個を南太平洋上の成層圏に飛ばした。

 昨年には、ミズーリ州カンザスシティーで秒速1ギガビットの高速インターネットサービス「グーグル・ファイバー」を実験的に開始。
 同サービスは間もなく、テキサス州オースティンやユタ州プロボでも展開される。
 複数の関係筋によると、同社はカンザスシティーでの利用者の反応に満足しており、グーグル・ファイバーをさらに複数の都市に広げる可能性もあるという。

 グーグルはモバイル端末に流す音楽や動画などのコンテンツを増やすに従い、それに必要な帯域の確保にも投資を増やしている。
 ファイバーのようなネット接続プロジェクトは、成熟段階にある検索ビジネス以上に売上高成長に寄与するかもしれず、効果的な広告には不可欠であるネット利用者の動向把握にも役立つかもしれない。

 一方でアナリストらは、グーグルは従来の得意分野から大きく外れた領域に足を踏み込もうとしており、結果として利益率が犠牲になる恐れがあると指摘する。
 AT&Tやタイム・ワーナー・ケーブルなど、既存の大手インターネットサービスプロバイダーを真正面から敵に回すことにもなりかねない。

 コンテンツプロバイダーは過去、インターネットサービスプロバイダーと衝突を繰り返してきた。
 動画ストリーミングサービスのネットフリックスは、ケーブル会社コムキャストが自社のコンテンツだけを優遇していると非難した。

 インターネットサービスプロバイダーが他社のオンラインサービスをブロックしたり遅くしたりすることを禁じた連邦規制は現在、ベライゾン・コミュニケーションズが裁判所に異議を唱えており、今後どうなるかは分からない。

 グーグルでアクセスサービス部門のジェネラルマネジャーを務めるケビン・ロー氏は
 「ユーザーはもっとスピードを欲しがっている。
 ウェブ上で可能なことに対する人為的な上限は求めていない」
と指摘。
 同氏は、カンザスシティーでのグーグル・ファイバーに手ごたえを感じているとしたが、同プロジェクトの加入者数や財務的な目標、拡張計画などの詳細については明らかにしなかった。

■<ファイバー>

 高速ネットワークの構築は、電柱の利用許可の取得で地方当局の協力が必要になるなど、面倒な手続きを伴う。

 また複数の業界関係者の話をまとめると、グーグル・ファイバーはまだ規模が小さく、提供されるオンラインサービスも数が限られていることで、電話会社やケーブル会社にとって差し迫った脅威ではなさそうだ。

 タイム・ワーナー・ケーブルのロブ・マーカス社長は今年4月、カンザスシティーでのグーグル・ファイバーの加入者数は4000世帯を超えたにすぎないとし、
 「(自社から)乗り換えた人の数は現時点では取るに足りない」
と語っていた。

 一方でAT&Tは同じ4月、グーグルと同様の認可が得られれば、テキサス州オースティンで同社も毎秒1ギガビットのネットワークを構築する準備ができていると発表していた。

 投資会社セコイア・キャピタルのパートナー、ビル・コグラン氏は
 「既存プレーヤーたちは(グーグル・ファイバーに)どう応じるべきか答えを見つ出そうとしているのだろう。
 もし規模が大きくなれば、間違いなく新種の競争相手になるからだ」
と語る。
 同氏はグーグルでエンジニアリング担当の上級副社長を務めていたこともあり、グーグル・ファイバーのプロジェクトにも関わっていた。

 今年の売上高が約600億ドルに達するとみられるグーグルの中でファイバーサービスが存在感を高めるには、大規模な展開が必要となる。
 100万世帯の都市を想定した場合、全体の20%が月額120ドルのグーグル・ファイバーに加入したとしても、売上高は2億8800万ドルにしかならない。
 全世帯の半数から契約を獲得できても年間売上高は7億2000万ドルだ。

 バーンスタインのアナリストCarlos Kirjner氏は、カンザスシティーで30万世帯にファイバーを届くようにするコストは1億7000万ドルと推計。
 仮に全米2000万世帯に拡大するとすれば、その費用は100億─150億ドルに膨らむとみている。

 インターネット接続事業に本格参入すれば、中核のネット事業では40%台半ばを誇るグーグルの営業利益率は、短期的には圧迫されることになる。
 ケーブル業界の標準的な利益率は30%台半ばだ。

 グーグル株を保有するグレーディアント・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、マイケル・ビンガー氏は、ファイバーへの現在の投資水準に不満はないとした上で、もし費用のかさむ全米高速ネットワークへの投資などに急速にかじを切るなら、
 「彼らがどんなビジョンを持ち、どう利益を出そうとしているか詳細を聞かなくてはならないだろう」
と語った。

■<気球>

 540億ドルに上る現金資産を保有するグーグルには、ファイバーや気球などの実験プロジェクトに投資する余力は十分にある。

 気球プロジェクトに取り組むのは、眼鏡型端末「グーグル・グラス」や自動運転システムなどの実験的プロジェクトに取り組む「グーグルX(エックス)」と呼ばれる部門。

 6月に開始した気球プロジェクトでは、特殊なアンテナを搭載した大きさ12メートルの気球を成層圏に浮かべ、気球同士と地上に設置した機器を接続してワイヤレスネットワークを構築する。
 最終的な目標は大規模な気球ネットワークを構築することだとしているが、アナリストらはこうしたネットワークの運用には、技術的にも規制面でも課題は多いと指摘する。

 また一部の投資家は、こうした実験的プロジェクトはリソースの無駄遣いだと厳しい。
 ニーダム・アンド・カンパニーのアナリスト、ケリー・ライス氏は
 「ウォール街には、大きな収益創出が実現しないであろうプロジェクトに投資するのはやめてほしいと考える人たちがいる」
と指摘する。

 ただ一方で、グーグル独自の高速ネットサービスは、動画共有サイト「ユーチューブ」など同社傘下の他のオンラインサービスには有益だとし、
 「インフラの環境が整えば出来ることは多い」
とも同氏は語る。

 ユーチューブは5月、月間視聴時間が60億時間に達したと発表。
 事情に詳しい関係筋によれば、数年以内に1日10億時間突破を目指しているが、そこに到達するにはネットのスピードが生命線になる。
 グーグルは、この件に関するコメントを差し控えた。

 グーグルの実験的プロジェクトに対し、これまで投資家はおおむね寛容だったが、その背景には、世界のスマートフォンの5分の4に搭載されるまでに成長したモバイル端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」など、過去に成功したケースがあるからだ。
 一方で、「グーグルTV」など鳴かず飛ばずの製品もある。

 アナリストらは、グーグルはネット接続サービスに乗り出すことで、オンライン上の消費者動向をより正確に把握できるようになり、それが効果的な広告や製品作りに生かされると指摘。
 調査会社ガートナーのアナリスト、イアン・キーン氏は
 「ネットワークプロバイダーになってトラフィックをモニターし、人々が何をしているのかを見れば、いち早く情報をキャッチできる」
と述べた。

 グーグルは、ニューヨークやサンフランシスコなどの都市で、市が管理するWi─Fiネットワークに資金を提供している。
 スターバックスに提供する無料Wi─Fiサービスでは、現在店舗で使えるWi─Fiの10倍のスピードを実現するとしている。

 グーグルがスターバックスとの契約を発表した時、現在のWi─Fi提供者であるAT&Tは、同社もサービスのアップグレードを申し出たとし、今後もスターバックスには各種サービスを提供していくと説明していた。
 14日時点で、AT&Tからはそれ以上のコメントは得られていない。

 グーグルは今後、スターバックスの独自オンラインコンテンツサービス「スターバックス・デジタル・ネットワーク」の新バージョン開発でも協力する。それによってグーグルは、音楽など自社が配信するコンテンツのプロモーションや、ターゲティング広告で有利な立場を得ることになるだろう。

 フォレスター・リサーチのアナリスト、チャールズ・ゴルビン氏は
 「彼らはこうした取り組みをインターネットコミュニティーのためにしているのではない。
 彼らの目線の先にあるのは、これらの取り組みが作り出す全体像だ」
と語っている。

(Alexei Oreskovic記者 翻訳;宮井伸明 編集;伊藤典子)
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【気になる-Ⅴ】


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2013年8月13日火曜日

世界の観光客数ランキング、中国は3位に:国連世界観光機関

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●12日、シンガポールの有名な観光旅行ウェブサイト「relax」が国連世界観光機関(UNWTO)による世界で最も多くの観光客が訪れた国家のランキングを発表した。写真はフランス・パリ。

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レコードチャイナ 配信日時:2013年8月13日 17時7分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75505&type=0

世界の観光客数ランキング、中国は3位に―国連世界観光機関

2013年8月12日、シンガポールの有名な観光旅行ウェブサイト「relax」が国連世界観光機関(UNWTO)による世界で最も多くの観光客が訪れた国家のランキングを発表した。

2012年、中国は5770万人で、2位のアメリカ(6770万人)、1位のフランス(8330万人)に続く3位に入った。以下がトップ10のランキング。

1位、フランス・8300万人
2位、アメリカ・6700万人
3位、中国・5770万人
4位、スペイン・5770万人
5位、イタリア・4610万人
6位、トルコ・3570万人
7位、ドイツ・3040万人
8位、イギリス・2930万人
9位、ロシア・2570万人
10位、マレーシア・2470万人

(提供/人民網日本語版・翻訳/YH・編集/武藤)
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【気になる-Ⅴ】


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2013年8月6日火曜日

「ジブリの呪い」:日本の株・外為投資家が身構える放映直後の大荒れ

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●ジブリの「天空の城ラピュタ」の一場面

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ウオールストリートジャーナル     2013年 8月 02日 10:32 JST 更新
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323451804578642561445230042.html
  By     TAKASHI MOCHIZUKI AND KANA INAGAKI

日本の株・外為投資家が身構える「ジブリの呪い」

 【東京】スタジオ・ジブリという名を耳にすれば、大抵の日本人は「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」といったヒット作を次々に生み出してきたアニメ制作会社を思い浮かべるだろう。

 だが、株式と為替のトレーダーはそれとは別に陰鬱(いんうつ)なイメージも連想するはずだ。

 日本テレビ系列で毎週金曜夜9時から放送される映画番組「金曜ロードShow!」では、数週間に1度ジブリのアニメ作品が放映されるが、ベテラン市場関係者によると、
 放映後の東京市場で株・為替市場が大荒れになるという。

 特に、円相場のアナリストはジブリのアニメが放映される2日について、最悪の事態が起きると予想している。
 7月の米雇用統計がほぼ同じ時間帯に発表されるからだ。
 ジブリの「天空の城ラピュタ」の放映開始は日本時間2日午後9時(米東部午前8時)で、雇用統計はそれから30分後に発表される予定。
 ところがジブリ作品の放映と重なった9回の雇用統計の発表のうち8回が市場予測を下回った。
 そして7回で、ドルは円に対して下落したのだ。

 例えば、「魔女の宅急便」が放映された2011年7月8日の金曜日。
 予想を86%下回る雇用統計が発表され、ドルが円に対して1.2%下落した。
 さらに週明けの月曜日には、日経平均が前週末比0.7%安となった。


●玩具店の棚に置かれたトトロのぬいぐるみ

 「ジブリが金曜にやる、それはつまりドル円相場が荒れるという認識はファクターとして持っている」
と話すのは、都内の仏系保険会社に勤務する中村維男(ゆきお)さん。
 趣味で外国為替取引を手掛ける小口投資家の1人で、
 「ジブリ映画の放映自体は特に見ないが、リスクヘッジという観点で、放映されるスケジュールは常にチェックしている」
という。

 ジブリのアニメがテレビ放映されると株や為替相場が荒れるという都市伝説は、トレーダーの間では「ジブリの法則」あるいは「ジブリの呪い」と呼ばれている。
 日テレの「天空の城ラピュタ」放映を目前に控えて、ネット上の掲示板やツイッターなどは既に、この話題についての投稿で盛り上がっているようだ。
 中には、日テレは放映日と米雇用統計日が同じ日になるように放映スケジュールを仕組んでいるのではないかといった陰謀説を唱える向きもある。

 日テレの広報担当者にコメントを求めたが、コメントに値しないと言われてしまった。
 また、スタジオ・ジブリも、市場でそのようなうわさが広がっていることには気付いているとしながらも、やはりコメントを控えた。

 ジブリの法則を信じている人々は、異様ともいえる的中度を指摘する。
 日テレは2010年1月以来、ジブリ作品を24回放映してきた。
 そして、3分の2近くで、放映後の最初の取引日には東京市場で円高が起こり、また約半数の場合で株価が下落した。

 日本市場ウォッチャーはなぜそのようなことが起こるかについて、それぞれ持論を展開している。

 商品取引情報会社の大起産業で商品アナリストをしている小菅努氏もジブリの法則を独自に分析した一人。
 雇用統計の発表で不安定さが増すのは確かだが、ジブリ放映日後の数日の為替レートの振れは放映のなかった場合と比べて、著しく大きいというほどでもないという。
 ただ、ジブリ放映日が雇用統計発表と重なることがよくあるため、熱狂的なアニメ・ファンの多い日本では、「心理的に」両方を結び付けて考えてしまう傾向があると指摘する。

 実際、このように相場と相関性のある要因を示した話は世界中の市場のどこにでもある。
 その中でも最も有名なのは太陰周期に基づいた古い相場格言だ。
 それによると、満月になる前後の数日に相場の方向性が変わることが多いという。
 また、トレーダーは1世紀以上にわたり、太陽とその黒点の活動を観察し、相場の転換点の測定に活用していた。
 日本にも変わった説がある。
 市場のブロガーは、バレンタインデーには必ずと言っていいほど日経平均株価が上昇すると指摘する。

 もちろん、ジブリの法則に影響を受けていると公然と認めるプロのディーラーには、ほとんどお目にかからない。
 ただし、日本の大手銀行に勤務するあるシニア・ディーラーは、同業他社の中には法則に従って「宝くじの感覚で」個人的な投資をしている者もいると、こっそりと打ち明けた。

 一方、小口のデイトレーダーや気軽に為替取引を楽しんでいる個人投資家には、法則を信じ、大損を避けるためにポジションを閉じると話す人もいた。

 東京に住むある主婦は「時々はこういうネタで取引するのは楽しい」と、ジブリ作品が放映される時だけは、米雇用統計が予想を下回ると読んで為替投資をする。
 そして、5度のうち4度は儲けが出たという。

 また、大阪を拠点としているあるデイトレーダーは、ジブリの法則のことは2006年に株関係のネット掲示版で初めて知ったと話す。
 当時、「天空の城ラピュタ」放映中に「バルス」という滅びの呪文が叫ばれた時には「戦慄が走った」という。
 そして、
 「もしあの時にポジションを閉じていなかったら数百万円単位のロスを出していた。
 翌週火曜日に再エントリーしたが、そのポジションは結局数百万の儲けを出した。
 10人ほど投資仲間がいるが、ラピュタの恐ろしさを話題にしたのをよく覚えている」
と真顔で語った。

 米雇用統計発表と同じ日に「金曜ロードShow!」で「天空の城ラピュタ」が放映されるのは十数年ぶり。
 日本のデイトレーダーは万全の構えで放送を待っている。
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ウオールストリートジャーナル     2013/08/05 3:52 pm
http://realtime.wsj.com/japan/2013/08/05/%E3%80%8C%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%AA%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87%E3%80%8D%E5%86%8D%E3%81%B3%E7%9A%84%E4%B8%AD%E3%80%81%E3%80%8C%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%80%8D%E3%83%84%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%88/?mod=WSJBlog&mod=WSJJP_Blog

「ジブリの法則」再び的中、「バルス」ツイートも新記録

 2日に発表された7月の米雇用統計で非農業部門就労者数が予想より弱かったことで、
 東京のトレーダーたちは再び「ジブリの法則」に直面させられた。

 「呪い」と呼ばれることもあるこの法則によると、スタジオジブリの映画が日本テレビ系列で放映されている時間に米国の雇用統計が発表されると結果は市場予想を下回るという。

 まさに2日に起こったのがこれだ。
 ジブリの「天空の城ラピュタ」が放映されている際に発表された7月の米雇用統計は、非農業部門就労者数が前月比16万2000人の増加にとどまり、アナリストによる事前予想の18万3000人増を大きく下回った。
 さらに悪いことに、米労働省は5、6月の就労者数を計2万6000人下方修正した。

 「ジブリの法則」はここ数年、少なくとも米雇用統計の弱さを示す予言者として、不気味なほどその正しさが証明されている。
 2010年以降、雇用統計の発表と放映が重なったのは10回で、そのうち9回で統計は予想より弱い結果を示した。
 2010年以降発表された44回の雇用統計のうち、市場予想を下回ったのは全部で26回。

 例外の1回は今年7月。
 2010年から2012年まで毎年7月、雇用統計はジブリと重なり、結果はいずれも弱かった。
 ゆえに、日本市場のウォッチャーは8月もジブリの法則があてはまらないだろうと予測していた。

 クレディ・アグリコル銀行の斎藤 裕司外国為替部ディレクターは
 「先週、雇用統計までの数字が良かったので、雇用統計に対するマーケットの期待値は高く、一部では20万人以上を見込んでいる向きもあった」
と述べた上で、
 「全く科学的でないのはみんな知っているが、冗談半分でジブリの法則あたったね、とは話していた」
と明かした。

 反応が早かったのは外国為替市場だった。
 ドル相場は対円で雇用統計発表前に1ドル=100円にじりじりと近づいていたが、発表後に急落し、1ドル=99円を下回る水準まで値を下げた。
 一方、米株式相場は前日終値を上回って引けた。

 JRTは、先週のウォール・ストリート・ジャーナルの取材で、テレビをつけながらジブリの法則に従って取引をすると話した東京のフランス系保険会社に勤務する中村維男(ゆきお)さんに話を聞いた。
 中村さんは、統計発表前に50万ドル(約4900万円)を対円で売った。
 仮に法則が正しければ、雇用統計は悪く、ドルは下落するはずだからだ。
 結果、中村さんは25万円の利益を手にした。

 中村さんは
 「ロジカルでないのは知っているが、ここまで歪みのあるアノマリーは実に興味深い」
と話す。

 いくらか為替取引をしている主婦の浅野素子さん(39)は数週間前にジブリの法則を耳にし、この法則に賭けた。
 浅野さんはJRTに対し
 「ジブリに乗ったというのも少しある。
 知っちゃったからには完全に無視できない」
と語り、取引で4万円を手にしたと付け加えた。

 2日のジブリ映画はもう1つの意味でも注目に値するものだった。
 ミニブログサイト「ツイッター」を介したファンの参加が記録的なものになったのだ。

 「天空の城ラピュタ」には特に熱狂的なファンがいる。
 こういったファンは、ヒーローとヒロインが映画で「バルス」という呪文を唱えるのと同時に、この言葉をツイートする伝統がある。

 2011年に「ラピュタ」が放映された際、「バルス」は毎秒2万5088回ツイートされ、最高記録を達成。
 しかし、今年の正月、3万3388回ツイートされた「あけおめ」に記録を塗り替えられた。

 そして2日、ツイッターによると、「バルス」は毎秒14万3199回ツイートされ、再度記録を更新した。

 ネットを介したコミュニケーションに長けているネチズン(ネット市民)のみならず、アマゾンジャパンや日本ケンタッキー・フライドチキン、シャープといった企業の公式アカウントもこの言葉をツイートした。
 「バルス」は滅びの呪文だ。
 ヤフージャパンはウェブサイトに「バルス」ボタンを作った。
 このボタンをクリックすると、画面が粉々に砕け、スクリーンから崩れ落ちていくように見える。
 ちょうど映画で「バルス」の呪文がラピュタの城の崩壊を引き起こすように。

 ツイッターによると、日本国外からも投稿があったという。

山 梨県在住の和田英樹さん(32)は
 「フェイスブックでバルスをした。
 バルス祭りを知ったのはテレビ放映終了後だった」
と話す。
 「ジブリの作品の中で、ラピュタは他の作品とは何かが違う、とにかく特別」
だと言う。

 ツイッターはJRTに対し、ツイートの総数の割り出しに特別な努力をし、記録的な速さでそれができたことを明かした。

広 報担当の斉藤香氏は
 「現地ではすでに夕方だったが、サンフランシスコのサーバー担当者に急ぐようお願いをした」
と述べ、
 「やってくれたが、『こういう作業は本来時間がかかるんだ』と言っていた。
 アメリカにとっては、これは急ぎの案件では全くないので…」

と笑いながら語った。
記者:Takashi Mochizuki

原文(英語):The Curse of Ghibli—and ‘Balus’ Fans—Strike Again
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2013/08/05/the-curse-of-ghibli-and-balus-fans-strike-again/
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【気になる-Ⅴ】


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2013年8月5日月曜日

誰か世界を止めてくれ:英国が飛び降りたがっている――

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JB Press 2013.08.05(月)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38386

世界に対して門戸を閉ざす英国
(2013年8月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

世界を止めてくれ。英国が飛び降りたがっている――。

 2012年のオリンピックは、多様性を祝う輝かしい祭典だった。
 ロンドンは、他の追随を許さない世界的なハブであることを示した。
 オリンピックに出場した自国のヒーローたち
――モハメド・ファラーやジェシカ・エニスのようなアスリート
――は、英国人気質が持つ新しい包容力のあるものの見方を証明した。
 これは当時の話だ。

 あれから1年、英国の政界ではドアがバタンと閉まる音が響き渡っている。
 外国人に対するメッセージは悲しくなるほど単純だ。
 来るな、というものだ。

■「外国人は来るな」

 デビッド・キャメロン首相率いる保守党は、英国が欧州との関与を断つことにつながりかねない国民投票を約束している。

 こうした保守党内の欧州懐疑派が1つの選択肢を示した時代もあった。
 欧州を見限り、世界に目を向けるという選択肢だ。
 もはやそれもなくなった。
 バリケードは、ありとあらゆる人に対して築かれようとしている。
 旅行者、学生、企業幹部――。
 誰もが不法移民の志望者というわけだ。

 国境警備を担当する部局である内務省は先日、政府の政策の原動力になっている性質の悪いポピュリズムの片鱗を見せた。
 広告用掲示板を乗せたトラックが民族的に多様なロンドンの各地域に配備された。
 そのメッセージは何か? 
 不法移民は「国に帰るか、さもなければ逮捕されることになる」というものだ。

 連立政権のジュニアパートナーである自由民主党は、この取り組みは馬鹿げており侮辱的だと抗議した。
 首相官邸はそれにも動じず、このキャンペーンが全国的に展開されるかもしれないと述べた。

 内務省は、「リスクの高い」国々からの旅行者に対し、英国に入国するために「3000ポンド」の預託金の支払いを求めることも計画している。
 その目的は「(ビザの期限を越えた)長期滞在」を抑制し、旅行者が医療を必要とする場合のコストを回収することだ、と内務省は話している。

■「白人」の多い国は対象外

 対象となった国は、
 インド、ナイジェリア、ケニア、パキスタン、スリランカ、バングラデシュだ。
 こうした国々は、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった圧倒的に「白人」が多い国が免除されていることに気付いている。

 もっと身近なところでは、
 ルーマニア人とブルガリア人の入国を制限
することも政府は約束している。
 こうした欧州連合(EU)諸国の国民は、暫定的な制限が来年終了する時にEU域内を自由に動けるようになる。 

 英国のタブロイド紙は既に、多数の「給付金目的の旅行者」に関するホラーストーリーに満ちている。
 移民の方が英国人より福利厚生を要求する可能性が小さいことは、この際気にしないらしい。

 政府は、ポピュリストたちの大衆受けを狙っている。
 首相は、かつて自身のトレードマークにしていた「大きな社会」の包括性を放棄してしまっている。
 苦境に喘ぐ英国独立党の国家主義者たちは、右派の間で保守党を出し抜いた。
 景気低迷と緊縮財政が国民の不満をかき立てている。
 キャメロン首相はかつて、英国独立党の支持者を「隠れ人種差別主義者」と呼んだが、今は彼らの機嫌を取っている。

 被害妄想の空気をかき立てているのは、マイグレーション・ウォッチUKのような圧力団体だ。
 この組織のトップを務める元外交官のアンドリュー・グリーン氏は、今世紀後半には「白い英国人」(グリーン氏の表現)が少数派になる可能性があるとする論文を引き合いに出す。

 「だから何なのだ?」と言う人もいるだろう。
 ファラー選手やエニス選手――1人はソマリア出身で、もう1人は部分的にカリブ人の血を受け継いでいる――が大声援を受けた時、英国が国のアンデンティティーの目印として肌の色を置き忘れてきたというのは、もっともな想定のように思えた。

 2人が金メダルを取った時、彼らは「茶色い英国人」だと不満の声を聞いた覚えは筆者にはない。
 だが悲しいかな、そうした勝利の喜びが、イングランドのホームカウンティー(ロンドン近郊の諸州)にあるサロンバーの外国人嫌いに風穴を開けることはなかった。

■正確な数字も把握できないめちゃくちゃな移民政策

 英国は、理にかなった効果的な移民政策を切に必要としている。
 人々は、制度が公正で効率的であり、地域社会にとって不当に破壊的でないことを望んでいる。
 最後の労働党政権は、EU加盟後の旧共産国からの入国者の数をあきれるほど過小評価した。
 門戸開放政策が甘い管理と相まって移民が制御不能になったという見方が広がった。

 だが、現政府にとっては、道徳の危機的状況とポピュリスト的なジェスチャーが、制度を掌握できない自らの失敗から注意をそらすものになっている。
 そして、非常に多くのやる気のない不適格な若者を生み出している国内教育制度の失敗に対処するよりも、移民が職に就いていると非難する方がどれだけ簡単なことか分からない。

 つい先日、英議会のある委員会は、正式な移民の数がどのみち「推測」に基づいていると話していた。
 出国する訪問者に対するパスポートやビザのチェックがない状態では、それもほとんど驚くには当たらない。

 こうした推測によると、正味の移民の数は非常に急速に減少しているという。
 これは恐らく本当だろう。
 だが、減少は、もっぱら外国からの留学生に対する取り締まりに反応したものだ。

 カナダや米国、オーストラリアといった国々は、大半が帰国するという明白な理由から、学生を永続的な移民とは見なしていない。
 一方、英国のビザ制度は混迷を深めており、ロンドンのヒースロー空港での入国管理は目を覆うばかりで、30万の亡命や移民の案件は未解決のままだ。

 正味の移民の数を数万人台前半まで減らすという公式目標は矛盾だらけだ。
 この目標は、どれくらいの数の英国人が引退してスペインの太陽の下へ移住するかによって、ブラジルや米国からの入国者の数が増えたり減ったりすると想定している。
 ポーランド人の配管工が帰国すれば、英国はより多くのインド人技師を受け入れることができる――そしてその逆もしかりだ。

■国家としての自信喪失

 このような愚かさの向こう側には、はるかに大きな問題が横たわっている。
 英国はかつて、進歩的で開かれた国際制度の擁護者だった。
 今は、世界に対して、自らを恨みがましい犠牲者として定義し直している。
 欧州から手を引いたり、移民を禁止したりしようとする動きは、国家の自信が崩壊していることを物語っている。

 そして、その経済的結末は壊滅的なものだろう。
 まともな考えを持った、例えば、中国、インド、ブラジルの一体どんなビジネスリーダーが、彼らがEUにアクセスするのを拒み、自国の人々を歓迎されない客だと言っている国に投資するだろうか?

 英国は今まさに飛び降りようとしているかもしれないが、それでも世界は回り続けるのだ。

By Phillip Stephens
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【気になる-Ⅴ】


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2013年8月2日金曜日

アニメを大産業にした日本:海外市場の競争の激化、深刻な赤字

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●7月31日、中国経済は今、モデルチェンジ・アップグレードの重要な時期に差し掛かっており、政府はサービス貿易の大々的な発展を、未来の発展の重点としている。写真は湖北省武漢市で開かれたアニメ・漫画関連のイベント。

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レコードチャイナ 配信日時:2013年8月1日 22時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75016&type=0

アニメを大産業にした日本、中国は経験と課題を参考に―中国メディア

 2013年7月31日、中国経済は今、モデルチェンジ・アップグレードの重要な時期に差し掛かっており、政府はサービス貿易の大々的な発展を、未来の発展の重点としている。
 そのうちアニメ貿易の成長の潜在力は軽視できないものだ。
 中国のアニメ産業は、2004年から始まった。
 中国は2011年に日本を抜き、世界最大のアニメ生産国の玉座に輝いた。
 中国人漫画家の作品も、日本の主流マンガ市場に進出した。
 経済参考報が伝えた。

 日本は「アニメ王国」として知られ、そのアニメ製品の生産高は世界の60%を占め、テレビで日本のアニメを放映したことのある国は100カ国を超える。
 日本のアニメ産業の最新状況はどうなっているのだろうか?
 どのような新しい特徴が生まれているのだろうか?
 日本のアニメ産業の発展に影響する要素には何があるだろうか?
 中国企業はそこからどのような有益な経験を学べるだろうか?

◆日本のアニメ市場の規模が縮小、アニメの商品化が進む

 日本のアニメ産業は狭義と広義の2種類の市場規模に分かれる。
 狭義のアニメ市場規模は、アニメ制作会社の売上高、広義のアニメ市場規模は顧客がアニメ関連商品に支払った金額に基づき統計をとる。
 日本の狭義のアニメ市場規模は2005年に2314億円というピークに達し、その後は低迷を続け、2010年には1528億円と、大幅に縮小した。

◆広義の市場規模、大幅な縮小は無し

 日本の広義のアニメ市場規模を観察すれば、状況がそれほど悲観的なものではないことが分かる。
 日本のアニメ産業の市場規模のピークは2008年に現れ、1兆4058億円に達した。
 2010年は1兆3205億円となり、依然として2005年の1兆2916億円を上回った。
 広義のアニメ市場規模には、小幅の縮小しか生じていないことが分かる。

◆アニメ作品の商品化

 日本のアニメ市場規模はやや縮小したが、アニメ作品の商品化が日増しに強化されていることに注目すべきだ。
 アニメキャラクター商品の小売市場規模は、2010年に前年比9.2%増の6421億円に達し、過去最高を記録した。

◆制作技術・市場開拓・融資・知的財産権の保護

 経済のグローバル化と技術の急速な発展に伴い、日本アニメ産業は制作技術・市場開拓・融資制度・知的財産権の保護の面で、次の新たな特徴を見せている。

(1).アニメ制作、情報・通信技術を融合

 1990年代、パソコンの普及とアニメ制作ソフトの開発に伴い、日本のアニメはデジタル化制作水準を大幅に引き上げた。

(2).二次利用市場の発展

 アニメ作品は一次利用と二次利用という、二つの形態に分かれる。
 一次利用市場は主に、テレビ放送・映画公開によりアニメ創作の目的に達する。
 二次利用市場は、アニメ作品とアニメ産業チェーンにおけるアニメ編集、DVD制作、関連商品の開発を一体化し、アニメの開発利用を深化する。
 日本では現在、マンガ出版とアニメ制作のみに依存する一次利用市場において、すでに画期的な進展が実現できなくなっている。
 一方で二次利用市場はより多くの収入をもたらし、特にアニメ関連商品の売上高は高額にのぼる。
 アニメ作品の二次利用市場は、日本のアニメ産業に新たな活力をもたらすと言える。

(3).製作委員会、リスク分担のメカニズム

 アニメ産業はハイリスクの産業だ。
 例えば、テレビ向けの21分間のアニメ作品は、100人が3カ月以上をかけて制作する必要がある。
 仮にアニメ作品が視聴者に受け入れられなければ、制作会社はコストを取り戻せず、さらには大量の負債を背負い込む可能性がある。
 1990年代になると、アニメ制作で分担するリスクを下げるため、
 日本で独創的な製作委員会方式が制定された。
 製作委員会方式のメリットはこうだ。
▽.その他のアニメ制作会社に投資を行っている企業にとっては、一つのアニメ作品への投資額を大幅に減らすことで、より多くの作品に投資する選択の余地が残せる。
▽.アニメ制作会社にとっては、制作の経費が工面しやすくなる。製作委員会方式の導入により、日本では近年独立局系アニメ作品が増加している。

(4).アニメ作品の知的財産権の保護を重視

 アニメの主な収入源は、アニメの関連商品だ。
 ゆえに知的財産権の保護が十分でなければ、海賊版が正規版の市場シェアを奪い、アニメ映画の著作権を侵害し、関係者が得るべき報酬を得られなくなる。
 日本は近年、知的財産権の保護に全力を尽くしており、国内のアニメ著作権保護の法制度を整え、さらに頻繁に国際提携を進め、アニメ産業の健全な発展を保証している。

◆日本アニメ産業の問題点

 日本の狭義のアニメ産業市場規模は2005年以降に低迷を続けている。
 市場競争の激化、アニメ制作の大量の外注、アニメ人材の不足、経営赤字などが、その根本的な原因と見られる。

(1).海外市場の競争の激化

 アニメ大国の米国は、日本のアニメ産業のライバルだ。
 米国の他に、韓国や中国といったアニメ新興国の急発展も、日本のアニメ産業に激しい競争を強いている。
 同時に日本のアニメ産業そのものが抱える問題もまた、さらなる発展を制約し始めている。

(2).アニメ産業、制作の空洞化

 多くのアニメ企業は近年、制作費を削減するため、アニメ原作の作図や着色といった初期制作を中韓や東南アジア諸国の制作会社に外注している。
 多くのアニメ作品の初期段階の業務が、中国、韓国、フィリピンなどのアジア諸国に流出しており、海外への依存度が高まっている。
 この長期的な外注により、日本本土のアニメ制作者、特に若者は基礎的な業務の訓練機会が減少し、アニメ制作の堅固な基礎を築けず、結果的にアニメ産業の制作の空洞化が生じている。

(3).低給与、アニメ人材が流出

 日本のアニメ制作会社の多くは中小企業だ。
 中小企業基盤整備機構が2006年に626社を対象に実施した調査によると、資本金5000万円未満のアニメ制作会社が全体の88%を、従業員が100人未満の会社が90.6%を占め、ほとんどが中小企業だった。
 アニメ制作の中小企業は熾烈な競争の中で、自社の従業員をコスト削減の対象とせざるを得ず、結果的にアニメ制作者が安月給となっている。

(4),深刻な赤字

▽.まずマンガが出版され、そのマンガがアニメ化し、テレビで放送される。
▽.制作者は作品の著作権を持ち、これを対外的に販売し、アニメシリーズの関連商品を生産・販売する。
▽.アニメ作品の著作権の販売で利益を獲得すると、制作者はアニメ商品のさらなる開発を進め、最終的に新たなアニメを開発する。

 このような良性の循環が存在するが、近年はアニメ制作会社が雨後の竹の子のように出現している。
 またアニメ作品がテレビや映画で発表される時間は限られているため、アニメ制作会社は放送時間を巡り熾烈な競争を繰り広げている。
 多くの企業は、製作委員会もしくはテレビ局から突きつけられた、厳しい条件をのまざるを得ない。
 アニメ作品への投資とその生産高は比例せず、アニメ制作チームの積極性がそがれている。

 中国のアニメ産業は近年急速に発展している。
 日本のアニメ産業の市場規模はやや縮小しており、新たな問題が表面化している。
 しかし中国は、日本アニメ産業がブランド樹立、制度のイノベーション、資金回収、市場開拓、キャラクターのPR、アニメの二次利用で、中国が真剣に学習し参考にすべき、多くの貴重な経験を持っていることを認識しなければならない。

(提供/人民網日本語版・翻訳/ YF・編集/武藤)
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【気になる-Ⅴ】


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2013年7月30日火曜日

欧州よ、米国に学べ:見込みがなければ破産させよ

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●GM破産の数年後にデトロイト市が破産した(写真の正面はデトロイトのGM本社ビル)〔AFPBB News〕

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JB Press 2013.07.30(火)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38341

欧州よ、米国に学べ:見込みがなければ破産させよ
(2013年7月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

米GM、連邦破産法11条申請へ

かつての偉大な都市デトロイトの破産は、この「モータウン」の伝説的な自動車メーカーであるゼネラル・モーターズ(GM)が破産したほんの数年後にやって来た。どちらの破綻劇も、現実を早く直視しなかったことなど、様々な失敗が数十年間蓄積された結果だ。

 これらはまた、米国には欧州に対し大きな優位性があることの象徴でもある。成功している事業や活動に成長の余地を与えるために見込みのない者を退場させることについては、米国の方が前向きなのだ。命運の尽きた事業に引導を渡せることは、弱さではなく強さの表れである。

 もし欧州――特にユーロ圏――が危機を脱したいのであれば、この厳しいながらも愛のある米国のやり方を導入すべきだ。

 巨大な組織が崩れれば騒ぎになるのは当然だ。GMで再編された債務の額は1720億ドルに上った。その本社があるデトロイト市が直面する債務も、同市の緊急財務管理者ケビン・オーア氏によれば200億ドルに達する可能性があるという。

 この債務の大半は、自分たちの支払い請求は履行されると確信していた人々の損失だ。これは明らかに不公正であり、損失を被る債権者たちが――デトロイトの労働組合が連邦政府に支援を要請しているように――誰かにこれの穴埋めをさせようと手を尽くすのを責めることはできない。

 しかしながら、総じて言えば米国は、結果がどうなろうと構わないという覚悟ができている。欧州に比べればそうだ。

 以前は、常にそうだというわけではなかった。1975年には、財政危機に陥ったニューヨーク市に当時のジェラルド・フォード大統領が「くたばれ」と言い放ったと報じられた(実際にはそのような発言はなかった)が、最終的には支援の融資が実行された。
破産が終わりを意味しない米国、再起を果たすことに名誉

 しかしここ数年は銀行(リーマン・ブラザーズや多数の中小銀行)、経済全体に影響を及ぼし得るそのほかの企業(自動車産業)、さらには多数の自治体が最寄りの破産裁判所に駆け込む事態となっている。

 米国のこの厳しい対応には、それに見合う愛がある。この国では、リスクを取って失敗することは終わりを意味しない。再び立ち上がることが名誉とされる。破産すれば新たなチャンスが与えられるし、そうした場面で戦い続けることがこの国の文化では好まれる。米国経済のダイナミズムは、リスクを取ることに寛大な態度による部分が大きいのだ。

 これに対しヨーロッパ人は、支払い不能の状態に陥ることをもっと悪く、道徳的な汚点だと捉える。昔から、破産することは信頼できない人物だという烙印を押されることだった。ビジネスの世界から完全に身を引いてしまったり、昔であれば自分の人生を終わらせたりしてでも隠そうとするような恥ずかしいことだった。

 こうした見方は今でも、破産期間を12年間と定めたアイルランドのルールなど古めかしい法律に残っている(もっとも、アイルランドのこのルールはようやく改正されることになったが)。
失敗に対する欧州の文化的アレルギーがもたらす歪んだ政策

 逆説的だが、失敗に対する欧州の文化的アレルギーは、リスクがあまり取られない状況を招くだけでなく、大きなリスクを取って損失を出した人々を救済する政策にもつながっている。今日の危機で欧州は、デフォルト(債務不履行)などとても容認できないと考えているために、破産者の債務を穴埋めする政策を選択している。そしてその結果、自らが苦しむことになっている。

 ギリシャの事例ではこの構図がはっきりしていた。債権国側は救済など受け入れられないと主張したが、欧州の主権国家が債務の元利返済をしないかもしれないという見方の方がそれ以上に受け入れられないことだった。そして、最後の審判が下る日を先送りするために、ユーロ圏諸国が融資を行うことになり、国際通貨基金(IMF)もそこに無理やり参加させられたのである。

 銀行が破綻した時にも同じ現象が生じていた。アイルランド政府は2010年、同国の複数の銀行のバランスシートにあいた穴を国民の税金で埋めようと、あらゆる手を尽くした。これらの銀行を支払い不能と認定し、小口の預金者を保護したうえで債権者に後始末をさせるというやり方を採らなかったのだ。

 アイルランド政府はその後、国民の税金ではこの穴は埋めきれないことを理解し、それを見たほかのユーロ圏諸国は、アイルランドに力づくで資金を貸し付けて銀行救済を継続させた。破産を毛嫌いするこの姿勢は、スペインやそのほかの国々の銀行政策をも損なうこととなった。

 通常のパターンではあるが、現実に直面したヨーロッパ人は考え方を変えざるを得なくなっている。例えば、ギリシャのソブリン債務は最終的には再編された(確かに、債務再編の利益の大部分が消えてしまう前にこれを実行するというわけにはいかなかったし、ギリシャ国債の保有者が自主的に行ったという偽りの看板を掲げることにもなったが)。

 またキプロスの危機でも、金額こそ小さかったが、ロシア人預金者を救済するという提案は欧州北部の国々には容認できないものだった。

 こうした教訓でさえ、理解されるにはそれなりの時間がかかる。米国では2010年に、大銀行の規模を段階的に縮小させて損失をその債権者たちに負わせる権限を政府が手にした。一方、欧州連合(EU)加盟国政府の大半は、この重要な法律を成立させる手続きにも取りかかっていない。

 債権者に損失を求める「ベイルイン」の必要性については原則的には合意されているが、EU本部から成立を義務づけられるのは何年も先のことになるだろう。

 もし、今回の危機が始まった時からユーロ圏が債務再編を実際的な政策として取り入れていたら、果たしてどれほどの資金が節約できただろうか。もちろん、その答えは誰にも分からない。しかし、数年間にわたって経済成長が失われた――目覚ましいとは言えないがまずまずの速度で危機を脱している米国と比べるならそうなる――ことの一因は、欧州がいまだに抱える過剰な債務に求められる。

 米国では債務残高の急減を背景に、人々が再びお金を使い始めている。片や欧州では、自己資本があまりにも少ない(ほかの資金調達源が干上がっている時に債務の株式化を拒んだ結果である)ためにぐらついている銀行が経済の足かせになっている。
リーマン破産から欧米が引き出した異なる教訓

 こうした指摘に欧州諸国は、米国のように破綻を容認すればどんなダメージがもたらされるかはその最悪の破産劇――リーマン・ブラザーズの破産――で明らかになったと反論できるだろう。もっともな指摘である。しかし、あの一件から米国人と欧州人が異なる教訓を引き出したことも、また事実だ。

 米国は「大きすぎて潰せない」という考えに終止符を打つことに取り組んできた(まだ道半ばではあるが)。片や欧州は、キプロス危機まで正反対のことをやってきた。最も小さな規模な銀行の破綻に対しても、リーマン・ブラザーズのそれと同じくらい破滅的であるかのような対応を続けていたのだ。

 F・スコット・フィッツジェラルドはこんな一文を残している。「私は以前、米国の生活には第2幕なんてものはないと思っていたが、ニューヨークの好景気の時代には間違いなく第2幕になるものがあった」。フィッツジェラルドが念頭に置いているのは、どんちゃん騒ぎの1920年代を静かにさせた1929年の株価大暴落だ。

 米国が何度も見せてくれた教訓を欧州は今こそ学び取り、まず第2幕が始まるようにしなくてはならない。そうすれば、やがて第3幕が開く可能性も出てくるのだ。GMの時はそうだった。デトロイトでもきっとそうなっていくだろう。
By Martin Sandbu
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【気になる-Ⅴ】


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2013年7月26日金曜日

日本に“激辛”料理が生まれなかった理由: 唐辛子から見る日本ピリカラ論

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●長野県北部の中野市などで栽培される唐辛子「ぼたんこしょう」(写真提供:松島憲一准教授、以下同)

『
JB Press 2013.07.26(Fri) 漆原 次郎
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38301

日本に“激辛”料理が生まれなかった理由
唐辛子から見る日本ピリカラ論(前篇)

 暑い盛り。辛いものを食べて暑さを吹き飛ばしたいと願う人もいるだろう。それをかなえてくれる食材が、唐辛子だ。

 赤く熟した実は見るからに辛い。実際に口にしてみると、やっぱり辛い。そして、食べているときは苦痛さえ覚える。ところが、しばらく経つとまたあの辛さが恋しくなる。唐辛子はかくも魅力的な食材だ。

 いまや世界中で育てられ食べられている唐辛子。真っ赤に染まったキムチ、チゲを食べる韓国や、口がヒリヒリするほど辛みの利いた麻婆豆腐を食べる中国南部と比べ、日本で唐辛子はさほど好まれないと言われる。だが、日本人には日本人としての唐辛子との長いつきあいがあったのもまた事実だ。そこからは、辛さの日本的な受け入れ方も見えてくる。

 今回は唐辛子をテーマに、日本における歴史と現代科学を追ってみることにしたい。前篇では、“辛さの日本的な受け入れ方”を探るべく、日本人と唐辛子とつきあいの歴史を追っていく。後篇では、唐辛子をめぐる科学研究の現状を、信州大学大学院農学研究科でトウガラシ研究を行っている松島憲一准教授に聞くことにしよう。
伝来から150年で豊富な種類に

 日本にどのように唐辛子が入ってきたのか。その決め手となる記録は見つかっていない。ただし16世紀の室町時代から17世紀の江戸時代初期の間に日本に入ってきたとされ、主に3つの説がある。

 1つめは、1542(天文11)年、ポルトガル人によって南瓜が豊後国(いまの大分県)に持ち込まれた際、一緒に唐辛子も持ち込まれたという説。2つめは、豊臣秀吉(1536~1598)が1592(文禄元)年と1597(慶長2)年に朝鮮出兵した際、持ち帰ったという説。これには秀吉側が朝鮮半島に唐辛子をもたらしたという説もある。そして、3つめは、1605(慶長10)年、南蛮人により煙草が入ってきたのと同じくして入ってきたという説だ。

 明確な“第一歩”が分からないのは残念ではある。しかし、むしろ、その後の日本での唐辛子の普及が早かった方に注目したい。

 主に東海地方の農業について書かれた『百姓伝記』という書物が天和年間(1681~1684)に世に出た。そこに唐辛子の記述がこうある。

 <赤くほそく身なるうちに大小あり、またみぢかく赤きに、なりの色々かわりたるものあり、赤きうちにとつとおおきなるものあり、また黄色なるうちに大小あり、下へさがりてなるものあり、そらへむきてなるものあり>

また、すこし遅れて1697(元禄10)年に出された『農業全書』という農業書にも、唐辛子について「大あり、小あり、長き、短き、丸き、角なるあり、そのしなさまざまおほし」と記されている。

 農業書だけでない。1712(正徳2)年に成立した図入りの百科事典『和漢三才図会』には、唐辛子が「数品あり、筆頭の如く、椎子の如く、梅桃のごとく、さるがきの如く、或はすずなり、或は上に向かふ、生は青し、熟は赤し、或は黄赤色の者もあり」と記されているのだ。

 これらはいずれも、唐辛子の大小、形や育ち方などの多様性を示している点で共通している。最も早く唐辛子が伝来した説をとっても、伝来からわずか150年ほどの間に、日本の唐辛子は様々な種類に広がっていたのである。

 ちなみに、『農業全書』と同じ年に出た、食用や医用の植物解説書『本朝食鑑』では、「多食すると、血を破り、眼を損ない、瘡毒を動かす」と、“唐辛子の食べ過ぎに注意”を示している。これも多食をしていた人がいることを示す証しになりそうだ。
大都市近郊で唐辛子栽培、七味も誕生

 江戸時代、いまの東京や関西の人びとが「こんなところで」と驚くような場所で、唐辛子は育てられていた。

 江戸では、新宿の先の甲州街道沿いが唐辛子の産地だった。信州高遠藩(いまの伊那市高遠)の初代藩主だった内藤清枚(1645~1714)が、1699(元禄12)年に江戸郊外に内藤新宿という甲州街道の宿場を開いた。内藤新宿から甲州街道にかけての道沿いには、唐辛子の畑があり、当時はこの一帯が唐辛子の産地だったと言われている。

 一方、京都では伏見が唐辛子の産地となった。1684(天和4)年に刊行された山城国(いまの京都府南東部)の地誌『雍州府志』には、唐辛子について「山城の国、伏見辺りで作られたものが有名」と記されている。いまも伏見は、「伏見甘」と呼ばれる、長くて辛くない唐辛子の産地である。

 もちろん新宿も伏見も、いまに比べればのどかな田舎だったに違いない。だが、江戸や京都という大消費地の近くで唐辛子が栽培されていたのである。唐辛子は大消費地で消費される人気の野菜だった。そう考えるのが自然だろう。

 実際、新宿や伏見で唐辛子栽培が始まるより前から、江戸や京都などで唐辛子を使った薬味が誕生している。いまも人びとに愛用されている「七味唐辛子」である。

 1625(寛永2)年、江戸・両国橋付近の薬研堀(やげんぼり)で、からしや中島徳右衛門(生没年未詳)という人物が、唐辛子、焼唐辛子、芥子の実、麻の実、粉山椒、黒胡麻、陳皮の7種類の薬味を混ぜ合わせた「七味(なないろ)」を売り出した。その後、江戸の街に、調合して七味唐辛子を売り歩く行商の姿が見られた。当時、この七味唐辛子は調味料というよりも、薬の一種として考えられていたようだ。なお、中島が開いた店は1943(昭和18)年に、浅草に居を移し、いまなお「やげん堀」として七味唐辛子を売り続けている。

 京都では、清水寺に向かう産寧坂で、「河内屋」が明暦年間(1655~1658)から、白湯に唐辛子の粉を入れた「からし湯」を参拝客や修行者などに振る舞うなどしていたという。薬研堀のからしやの影響もあったのだろうか、その後、河内屋も七味唐辛子を始め、1816(文化13)年には、店名も「七味家」に変えている。薬研堀のからしやにない特徴は、七味の1つに山椒を使っていることだ。

 さらに、信州・善光寺の門前にも、七味唐辛子の老舗がある。1736(元文元)年、鬼無里(きなさ)村(いまの長野市鬼無里)出身の初代勘右衛門(生没年未詳)が、善光寺の境内で七味唐辛子を売り出した。これが、いまも善光寺交差点角に店を構える「八幡屋磯五郎」の誕生である。八幡屋の七味唐辛子の特徴は、生姜が薬味に入っていること。江戸時代中期に消失した善光寺の再建では、大工たちの体を温めるため、七味唐辛子入りの汁が供されたと言われる。

 江戸、京都、信州。それぞれに少しずつ調合は違いながらも、七味唐辛子は日本の薬味として確立していったのである。
“慎ましやかな辛さ”を唐辛子に求める

 唐辛子はほかにも、漬け物、魚の保存食、炒め物、煮物などのお供として各地で使われてきた。日本での唐辛子の使われ方は、魚や野菜などの主菜の持っている本来の味を消し潰さないほどの、脇役的なものだったと言えるだろう。

 明治時代に入るまで、日本には肉を食べる習慣がほぼなかった。そのため、肉の強い味とのバランスを取るほど大量に薬味や香辛料を使う習慣もなかった。中国や韓国の人びとが唐辛子に強烈な辛さを求めるのとは一線を画す、日本の“慎ましやかな辛さ”を求める食文化の成立を、このあたりに見出すことができそうだ。

 戦後になると、食の多様化が一気に進んだ。そして唐辛子も食の広がりの中、様々な形で受け入れられていった。四川料理の麻婆豆腐が料理人の陳建民(1919~1990)の手で日本に入ったのは1952(昭和27)年。戦後にはまた、即席カレーも普及した。

 さらに1988年のソウル五輪前後から、キムチなどの韓国料理が日本でも本格的に受け入れられる。1990年代、唐辛子をふんだんに使ったタイ料理は「エスニック料理」と称されブームになった。スナック菓子では「カラムーチョ」「暴君ハバネロ」「大魔王ジョロキア」といった、辛さを売りにした商品が棚に並んだ。

 伝統的な接し方と現代的な接し方という2つの側面を持つようになった唐辛子に対して、それぞれに科学的な視点も向けられている。現代は唐辛子という辛い食材に、科学の眼が当てられた時代でもある。後篇では、いま行われている唐辛子の科学的研究を見ていくことにしたい。

(後篇へつづく)
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JB Press 2013.08.02(Fri) 漆原 次郎
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38360

「激辛」世界一を目指さないのにはワケがある
唐辛子から見る日本ピリカラ論(後篇)

 辛い食材の代表格「唐辛子(トウガラシ)」をテーマに、前後篇で日本における歴史と現代における科学研究を追っている。

 前篇では、日本人と唐辛子のつきあい方を、伝来から現在に至るまで見てきた。
 遅くとも16世紀以降、唐辛子は日本人に食べられ続けてきた。
 日本の“慎ましやかな辛さ”への要求をそこに感じ取ることができる。

 そしていま日本人は、食の多様化とともに、様々な形で唐辛子を受け入れることになった。
 伝統性と多様性が相まみえる中で、唐辛子に科学的な視点も向けられ、
 新たな唐辛子の生かし方の研究も進んでいる。

 そこで後篇では、唐辛子を研究のメインテーマの1つにしている信州大学大学院農学研究科の松島憲一准教授に唐辛子研究の現状を尋ねた。

 科学、文化、産学連携と、様々な視点から唐辛子研究を進める松島氏に、唐辛子の辛さの秘密、日本における唐辛子栽培の発展性、そして日本人と唐辛子と未来を語ってもらう。

■ネズミでなく、鳥に食べられたい

 なぜ唐辛子に辛さがあるのか。
 この根源的な問いに対して、様々な視点から説明をつけることができる。

 まず、化学的な視点だ。
 19世紀、すでに西欧の研究者が唐辛子の辛さの正体を突きとめていた。
 その物質はいま「カプサイシン」と呼ばれている。

 その後、唐辛子には、カプサイシンとつくりの似た「ディヒドロカプサイシン」や「ノルディヒドロカプサイシン」といった物質も含まれていることが分かった。
 これらを含めた類似物質は「カプサイシノイド」という総称で呼ばれている。
 「唐辛子を食べたときの辛みに大きく影響するのはこの3つです」
と、松島氏は説く。

 生理学的な視点からも辛さの感じ方が解明されている。
 われわれの体の表面にあるバニロイド受容体という場所に、カプサイシンなどの辛み成分がはまることで、脳に辛さが伝わる。

 その辛さは、実は痛覚と温感によるもの。
 つまり、辛みは、甘みや苦みなどの味覚とは一線を画すのだ。
 「英語で唐辛子を“Hot”というのも的を射ています」

 進化学的な視点、つまり唐辛子がなぜ辛くなったのかには諸説がある。
 松島氏は、自然誌研究者ジョシュア・テュウスクベリーと農業生態学者ゲーリー・ナブハンが共同で2001年に「ネイチャー」に報告した説を紹介する。

 「唐辛子の種子は、ネズミに食べられると、糞からの発芽率が悪くなります。
 かつネズミの行動範囲も広くないので、種子を広めるという点では“食べられ損”となります。
 一方、鳥に食べられると、糞からの発芽率は高い。
 それに種子を飛んで遠くまで運んでくれます。
 カプサイシンの辛さは、ネズミなどの哺乳類には感じられますが、鳥にはあまり感じられません。
 鳥に食べてもらう一方、哺乳類には食べられないように、辛さを進化させていったというのがこの説です」

 他にも説はある。
 唐辛子を腐らせるフザリウムという菌から身を守るため辛さを発揮しているという説だ。
 菌の生じにくい乾燥地帯の唐辛子は辛くなく、菌が生じやすい高温多湿地帯の唐辛子は辛いという傾向があるというのだ。

 松島氏は
 「両方の説とも、自然界で唐辛子の果実中のカプサイシンがうまく働いている興味深い例と言えます」
と話す。

■ほんのりとした辛さの謎を解明

 世界では、より辛い唐辛子を目指した開発も行われている。
 スナック菓子の名前にも使われたことのある「ブート・ジョロキア」が、それまで世界一だった「ハバネロ・レッドサヴィナ」を辛さで上回り、2007年に“世界王者”の座に就いていた。

 だが、2011年に「トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー」という別の品種が、辛さのギネス世界記録に認定された。
 乾物1グラムあたりの総カプサイシノイド量は9万マイクログラムほどという計算になる。これはジョロキアの1.5倍に及ぶ辛さだ。

 松島氏によると、ジョロキアやハバネロなどは在来品種かそれに少し手を加えた程度の品種だったのに対して、ブッチ・テイラーは、“世界王者狙い”で品種改良され、栽培方法まで考えられてつくりだされたもの。

 さらに、「トリニダード・モルガ・スコーピオン」という別品種も、唐辛子の世界的権威である米国の研究者が“世界一辛い”と認めている。
 ジョロキア登場のあとも、辛さをめぐる熾烈な争いは続いているのだ。

 松島氏も、以下に見る通り、唐辛子の品種改良をしている。
 世界王者を狙う気はないのだろうか。

 「いまのところ参戦する気はありません。
 開発すれば話題にはなるでしょう。
 でも、それは日本で受け入れられるものではないからです。
 マイルドな辛さの品種を作る方が、日本の食文化には合っています」

 実際、松島氏は、ほんのりと辛さを感じる唐辛子の仕組みを解明してきた。
 これまで、“辛くない唐辛子”として知られてきたピーマンなどでは、辛みを完全に制御する遺伝子が見つかっている。
 一方で松島氏たちは、辛さを“完全に”抑えるのでなく、“極低量”に抑える別の遺伝子を発見した。
 この遺伝子を利用すれば、居酒屋などで運悪く出くわすシシトウの突発的な辛さなどを抑えることもできるという。

■目指すは地域が潤う唐辛子

 日本に合った唐辛子の開発とはどのようなものか。
 松島氏は、長野県などで採れる地元の唐辛子在来品種を保全し利用する一方で、新たな唐辛子品種を導入して地域産業に活用する取り組みも行っている。

 対象の1つが、「ぼたんこしょう」という長野県北部の在来品種の唐辛子だ。
 一見、ピーマンのような外見だが、果実のお尻のほうから見るとボタンの花のような高貴さも漂わす(上図)。

 地元には昔から、ぼたんこしょうを、在来の丸茄子、大根の味噌漬け、みょうがとともにみじん切りにして混ぜた「やたら」という生ふりかけのような郷土料理がある。
 「これはうまいですよ」と松島氏は太鼓判を押す。

 ぼたんこしょうを含む、県内の唐辛子在来品種のほとんどは、かつて自家用栽培をするくらいにとどまっていた。
 しかし、その土地ならではの唐辛子には高い商品価値がある。
 そこで、松島氏は地元の生産者と手を組んで、こうした唐辛子を産業化しようとしている。

 「唐辛子栽培は、中山間地向けです」とも言う。
 「軽量野菜なのでお年寄りでも扱いやすい。
 それに辛いので獣も寄りつかず、獣害にも遭いにくいのです。
 ぼたんこしょうのように、限られた地域でしか作られていない唐辛子は地域資源にもなります」

 松島氏は、ぼたんこしょうの甘みや辛みなどの味の成分や、抗酸化作用のあるポリフェノールなどの機能性成分の量を測るなどして、商品価値の科学的裏付けを取っている。
 産業化すれば、食文化の継承、農業の再生、遺伝資源の保全といった様々な効果が生まれそうだ。

 長野県には、地元で採れた唐辛子を食品に積極的に利用しようとする企業もある。
 松島氏は、そうした企業と製品開発を進めてもいる。
 その1つに、前篇でも紹介した、善光寺門前にある七味唐辛子の老舗「八幡屋礒五郎」との産学連携がある。

 「八幡屋礒五郎さんは多くの量を扱っているため県外産の唐辛子も使っていますが、名実ともに信州の唐辛子にしていきたいという社長の強い思いがあります。
 そのお手伝いをしています」

 信州の中山間地での原料用唐辛子栽培では、実が赤く熟す前に霜が下りることや、寒い地域では辛みが減ってしまうことが克服すべき課題となる。
 そこで八幡屋礒五郎と共同で、霜が降りないうちに赤く熟す早生で、かつ冷涼な気候でも辛さを保つような新品種を交配育種で開発している。

 他に、長野県飯島町に工場を持つ食酢メーカー「内堀醸造」とも協力し、酢との加工に適した唐辛子の品種導入を検討した。
 自治体とも連携し、飯島町の畑で採れる「チェリーボム」という品種を使った「すっぱ辛の素」という商品を誕生させた。

 「地域も儲かる。食品会社も儲かる。
 さらに唐辛子を求めて外から人が来る。
 在来品種を使用した場合は遺伝資源も保たれる。
 そのようなシステムをこれからもつくっていきたいと思っています」

■日本で食事の激辛化はどこまで進むのか?

 日本人と唐辛子のつきあいを長い歴史の中で捉えれば、ここ何十年は、伝来以来はじめての激動期と言えるのかもしれない。
 長らく日本人は唐辛子に“慎ましやかな辛さ”を求めてきたが、いまやラーメン、カレー、鍋、スナック菓子と、多方面の食で激辛化が進んだからだ。

 ただし、その激動も、なにもないところから起きたわけではない。

 「食文化として、七味唐辛子や地元の唐辛子などが途切れることなくずっと続いてきました。
 もともと日本人が江戸時代から持っていた、度を過ぎない“辛いもの好き”の下地があってこそなのでしょう」

 これから、唐辛子と日本人の関わり合いはどうなっていくのだろう。
 類いまれなるこの辛い食材を、松島氏は冷静に見つめる。

 「今後、唐辛子のような辛いものを食べる世代は広がり、若い人からお年寄りまで辛いものをさらに食べることになるでしょう。
 だからといって、日本のきつねうどんが全て真っ赤になるようなことは起きないと思います。日本人が続けてきた、日本食に合った唐辛子の使い方は、それはそれとして残っていくのではないでしょうか」

 変わらない部分と変わっていく部分。
 その両方を抱えながら、日本人と唐辛子の関係は続いていくことになる。
』




【気になる-Ⅴ】


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