●木材を原料とした充電池のイメージ画像。右側の写真は木材の繊維である。
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IBT 2013年6月22日 13時00分 更新 記者:Kukil Bora、翻訳者:臼村さおり |
http://jp.ibtimes.com/articles/45680/20130622/716313.htm
木材製の充電池を新開発、長寿命かつ低コスト―米研究
米国メリーランド大学の科学者たちが、木材、錫(スズ)、およびナトリウムを原料として、小型で、寿命が長く、環境に優しい充電池を開発した。
その充電池は、数百回も充電することが可能だという。
同充電池は、科学者たちの言葉を借りるならば
「紙よりも千分の1ほど薄い」木材で作られ、錫(スズ)でコーティング
されている。
そして、充電池で一般的であるリチウムの代わりに、環境への負荷を少なくするためにナトリウムを使用している。
ACSパブリケーションズ(ACS Publications)で発表されている研究論文によると、ナトリウムは豊富に存在しているため、ナトリウム(Na)イオンを利用した充電池は低コストである。
そして、錫(Sn)はナトリウムイオンの充電池と相性がよい。
科学者たちによると、エネルギーを蓄積するという面においては、ナトリウムよりもリチウムのほうが効率がよい。
しかし、ナトリウム、木材、そして錫(スズ)のほうが、より簡単に入手できる。
つまり、太陽エネルギーをリチウムイオン電池に蓄電するよりも、彼らが開発した充電池のほうが、より安価にエネルギーを貯蔵できるということになる。
現在、一般的に利用されているリチウムイオン電池には、柔軟性がない。
壊れやすく、膨張や収縮への耐性も弱い。
しかし、新たに開発されたナトリウムイオン電池であれば、多くの問題が解決する。
400回以上の充電に耐える木材繊維のおかげで、充電池の寿命が長くなる。
科学者たちが、充電池の充電と使用を数百回繰り返す実験をした結果、充電池に使用されている木材は、"しわ"ができたものの無傷であった。
そして、その"しわ"のおかげで、充電池使用時に電池にかかる負荷が軽減されているのが確認されたという。
機械工学を専門とする准教授であるテング・リー(Teng Li)氏は
「錫(Sn)にナトリウムイオンを通過させると、基材と錫の接続が弱められてしまうことがよくあります。
しかし、木材繊維は柔らかいので、錫の変化に対応し、効果的な緩衝材となります。
それが、ナトリウムと錫の充電池の寿命を長くしている肝なのです」
と述べた。
木材科学を専門とするメリーランド大学教授のリャンビング・フー(Liangbing Hu)氏は、樹木に触発されて、木材とナトリウムから充電池を作ることを思いついたという。
同氏によれば、樹木から採取される木材繊維には、ミネラル分が豊富な水を含む能力がある。
つまり木材繊維は、液体電解質を格納するのに理想的であることを意味する。
メリーランド大学および米国立科学財団によって資金提供を受けている新しい研究によると、柔らかく孔が多い木材繊維は、安価なナトリウムイオン電池の基材として本格的に使われる可能性を秘めているという。
新しい充電池の可能性を感じさせる開発は他にもある。
今年4月、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の科学者たちは、新たなマイクロ電池を開発した。
同マイクロ電池を利用した携帯電話であれば、バッテリーがあがってしまった自動車を復活させることができるとされる。
そして、超高速でその携帯電話を再充電することが可能だという。
*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。
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【気になる-Ⅴ】
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