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●シェールガスは水圧で地層にひびを入れ採掘される (JOGMEC、アイコンとも)
『
東洋経済 ONLINE 2013年01月08日
http://
toyokeizai.net/articles/-/12402
2013年、シェールガス革命で世界は激変する
素材、化学など日本企業にも恩恵
泉谷 渉 :
いずみや・わたる 株式会社産業タイムズ社代表取締役社長。神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。1977年産業タイムズ社に入社、 91年に半導体産業新聞を発刊、編集長に就任。現役最古参の半導体記者としてキャリア33年を誇る。日本半導体ベンチャー協会理事としても活躍。主な著書に『これが半導体の全貌だ』、『これがディスプレイの全貌だ』(以上、かんき出版)、『ニッポンの素材力』、『ニッポンの環境エネルギー力』、『1秒でわかる!半導体業界ハンドブック』、『1秒でわかる!先端素材産業ハンドブック』、『素材は国家なり(共著)』(以上、東洋経済新報社)、『日の丸半導体は死なず』(光文社)、『100年企業~だけど最先端、しかも世界一』(亜紀書房)等がある。
シェールガスが世界の既存の秩序を大きく変えようとしている。
日本の世論は、原子力発電所の再稼働などで揺れているが、その間に、海の向こうでは100年、200年に1回あるかないかの「革命」が進行中だ。
そこで、今回と次回の2回に分け、
「石油からガスへ シェールガス革命で世界は激変する」(小社刊)
を書いた長谷川慶太郎、泉谷渉氏にシェールガス革命の本質について、語ってもらった。
第 1回は泉谷渉氏。
シェールガス革命では日本の企業が大活躍していることを明らかにする。
シェールガス革命の大旋風が世界に吹き荒れ始めた。
エネルギー問題といえば、原発の是否やメガソーラーの導入などに関心が深い日本国内の事情からいえば、ピンとこない人も多いかもしれない。
しかしながら、これは100年、200年に1回あるかないかというほどのインパクトを持つ一大産業革命なのだ。
■圧倒的に安いシェールガスのコスト
米国のオバマ大統領は、2011年秋ごろまでは、ひたすら自ら提唱する「グリーンニューディール」の政策実行に腐心していた。
しかしながら、最近の彼はグリーンニューディールを一言も口にしない。
それに代わって、
「米国発のシェールガス革命は世界を席巻する。今後のエネルギーの覇権については、米国は勝ったも同然だ。
とんでもないことになる」
とコメントすることが多い。
今までは、石油があと20~30年、石炭が100年もたないという事情があるからこそ、原子力発電にいくか、太陽光、風力、地熱などの再生可能新エネルギーにいくか、という選択しかなかったのだ。
ところが、である。
「シェールガス」、すなわち砂や泥まみれの地中から取り出す天然ガスは、この状況を一変させてしまった。
なにしろ、1キロワットあたりのコストが、石油10円、風力20円、太陽光35円というのに対し、シェールガスはたったの6円なのだ。
しかも埋蔵量が少なくとも150年分、実際には300年以上もあるともいわれている。
なおかつ、CO2排出量は石炭に対し40%、石油に対し15%も少ないのだ。
米国はこのシェールガスの取り出しについて独占的な知財権で固めており、ピンポイントで見つけ出し、堀り上げ、精製まで持ち込むすべての工法を確立している。
世界のシェールガスの約4割は米国にあるといわれている。
中国をはじめ、世界各地にはシェールガスはあるものの、前記の事情で、米国が一気に最先行することになる。
■日本の技術が支えるシェールガス革命
しかして、わが国日本ではシェールガスはほとんど出てこない。
わずかに秋田県由利本荘でシェールオイルが見つかった程度である。
それならシェールガス革命は米国に最大の恩恵をもたらすが、日本にはそれほどのメリットはないのでは、と考える人たちも多い。
ところが、実はそうではないのだ。
結論を先に言えば、シェールガス革命で日本の企業には莫大なメリットが生じてくる。
シェールガスを取り出すためには2000メートルも掘り下げるわけであり、この圧力に耐えられる鋼管パイプは、新日鉄住金など、日本の鉄鋼メーカー以外には作れない。
シェールガスを精製して気体から液体、液体から気体へとリサイクルを行うが、このプラントは住友精密工業と神戸製鋼しか作れない。
一番難しいのはアルミの穴あけなのだ。
技能オリンピックで十数年連続金メダルを取る日本の「匠」の技術の一つが、アルミの穴あけなのだ。
シェールガスを収納する運搬容器には炭素繊維が使われる。
この分野は東レ、帝人、三菱レイヨンの国内勢が世界シェアの約70%を握っており、ここにも強い追い風が吹くのだ。
また、シェールガスは大型タンカーで輸送することになるが、ここでモノをいうのがアルミの厚板であり、これまた古河スカイなど日本勢しか作れない。
地中から引き上げてきたシェールガスの原材料に対し、大量の水を使うが、この水量全体を減らすために膨大な窒素を使用することになる。
材料ガス国内最大手の大陽日酸は、笑いが止まらないかもしれない。
さらにいえば、シェールガス採掘に伴う工事は土木であり、大型ブルドーザー、各種ショベル、大型トラックが必要になる。
コマツや日立建機もまた笑いが止まらないだろう。
そしてまた、これらの建機に使用する超大型タイヤは、世界でただひとつブリヂストンにしか作れないのだ。
東京都は400億円のファンドを積んで,東京湾岸に火力発電10基を作る計画を打ち出している。
猪瀬直樹新知事は必ずや断行するだろう。ここにもシェールガスを中心とする天然ガスが採用される。
原発稼働や着工が難しい現状にあって、火力発電こそが日本の中心的なエネルギーになるだろう。
世界的に見ても火力発電こそが主力、という声が多いのだ。
こうなれば、原発プラントで世界トップシェアを持つ東芝は、その持てる技術をシェールガスに転用して稼ぐだろう。
また、ガスタービンでは世界ナンバーワンの折り紙つきの三菱重工業にも福音がもたらされることになる。
■排水や薬液などの環境問題も難なくクリア
最近になって、国内化学メーカー第1位の三菱ケミカルホールディングスは、米化学大手のダウケミカルと提携し、シェールガスを活用した石油化学コンビナート構築を打ち出した。
シェールガスから基礎化学品のエチレンを生産すると、コストが日本の化学工場の20分の1になるという。
つまりは、自動車部品や液晶パネルに使う樹脂工場をローコストで建設し、世界の競合メーカーに対して先行してブッチぎっていこうとの考えなのだ。
一方でシェールガスは大量の排水があり、多くの薬液も使われることからEU諸国の中にはこれを禁止する国も出てきた。
つまりは、公害問題の発生がデメリットという向きもある。
ところがどっこい、それなれば世界ナンバーワンの日本の水処理技術がすべてを解決してしまう。
三機工業、栗田工業、荏原の出番が来たのだ。
2013年は米国で1万カ所のシェールガス掘り出しが始まるといわれている。
三菱商事、三井物産、住友商事、双日など世界に誇る日本の総合商社は、これらの掘り出しに大量の出資をしており、かなりの権利を握っている。
それゆえに、現在の天然ガスのような高い価格で日本がシェールガスを輸入するということはない。
シェールガス革命は米国におけるモノづくりを大復活させ、日本の最大の輸出先は中国から再び米国に変わるのだ。
反日ではない国、米国との取引が一気に拡大することは確実であり、もしかしたらこれが最大のシェールガスメリット、と言ってもいいかもしれない。
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●『シェールガス革命で世界は激変する』で詳細を紹介
「シェールガス」って何だ?
そんなうまいものが、この世にあるのか?
wikipediaで調べてみると、つまるところ岩石に閉じ込められた天然ガスとのようである。
http://
ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%82%B9
『
シェールガス(英語: shale gas)は頁岩(シェール)層から採取される天然ガス。
従来のガス田ではない場所から生産されることから、非在来型[1]天然ガス資源と呼ばれる。
アメリカ合衆国では1990年代から新しい天然ガス資源として重要視されるようになった。
また、カナダ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアの潜在的シェールガス資源も注目され、2020年までに北米の天然ガス生産量のおよそ半分はシェールガスになると予想する研究者もいる。
別の研究者は、シェールガス開発により世界のエネルギー供給量が大きく拡大すると予想している。
ライス大学ベーカー研究所の研究では、アメリカとカナダにおけるシェールガスの生産量の増加によってロシアとペルシャ湾岸諸国からヨーロッパ各国へのガス輸出価格が抑制されると結論付けた。
2009年の米中シェールガス・イニシアティブにおいてアメリカのオバマ大統領は、シェールガス開発は温室効果ガス排出量を減らすことができるとの見解を示した。
しかしその後シェールガスの温室効果ガス排出量が、従来の天然ガスや石油よりも大きくなるとの指摘が学会から上がるようになった。
○シェールガスの賦存(黒色部分)。シェールガスを含む頁岩層 (Gas-rich shale) に水平にパイプを入れ、高水圧で人工的に割れ目をつくり、ガスを採取する。
○米エネルギー情報局 (EIA) による主なシェールガス層の分布図。
●水の汚染
水圧破砕には、一つの坑井に多量の水(3,000~10,000m3)が必要であり、水の確保が重要となる。
また用いられる流体は水90.6%、砂(プロパント8.95%)、その他化学物質0.44%で構成されることから、流体による地表の水源や浅部の滞水層の汚染を防ぐため、坑排水処理が課題となる。
実際に、アメリカ東海岸の採掘現場周辺の居住地では、蛇口に火を近づけると引火し炎が上がる、水への着色や臭いがするなどの汚染が確認されるようになり、地下水の汚染による人体・環境への影響が懸念されている。
採掘会社はこれらの問題と採掘の関連を否定しているが、住民への金銭補償・水の供給を行っている。
こうした問題に関連したデューク大学などの調査では、着火しうる濃度のメタンが採掘地周辺の井戸水で検出されていることが明らかとなっている。
●誘発地震
2012年4月26日、朝日新聞の報道によればアメリカ地質調査所は米国中部でM3以上の地震の年間の回数が10年前に比較し約6倍になっているとしている。
また2011年にはコロラド州とオクラホマ州でM5の観測史上の最大級の地震も記録された。
メンフィス大学 (University of Memphis) 地震研究情報センター (Center for Earthquake Research and Information) の研究者は採掘後に戻し注入された水によって断層が滑り易くなっていると考えている。
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ロイター 2013年 02月 14日 13:42 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE91D01W20130214
シェールオイルで世界GDP年3.7%押し上げも、印日に恩恵
[ロンドン 14日 ロイター]
プライスウォーターハウスクーパース(PwC)PWC.ULが14日公表したリポートによると、シェールオイルの世界生産は2035年までに原油価格を最大1バレル当たり50ドル押し下げ、世界全体の国内総生産(GDP)を年間1兆7000億─2兆7000億ドル押し上げる可能性がある。
インドや日本が最も大きな恩恵を受けるとみられる。
シェールオイル生産は今後20年間にわたって米国での生産拡大に伴い、石油生産全体に占める割合が現在の1%程度から最大12%(日量1400万バレル)に拡大する可能性があるという。
リポートは、これによって世界のGDPが2035年までに年間2.3─3.7%押し上げられるとしている。
PwCのチーフエコノミストでリポートの共同著者であるジョン・ホークスワース氏は
「シェールオイルの供給拡大を背景にした原油の国際価格下落によって、同じコストでより多くの生産が可能となり、世界経済の今後の発展に大きな影響をもたらす可能性がある」
と述べた。
また、PwCの石油・ガス戦略チーム責任者のアダム・ライアンズ氏は、需要が価格に大きく依存していないことから、シェールオイルの供給拡大は消費全般の大幅拡大にはつながず、燃料コストを押し下げると指摘。
「1つの効果として、北極圏での掘削やタールサンドなどの環境破壊的でコストの高い採掘技術の必要性が低下するだろう」
との見方を示した。
リポートによると、供給拡大を受けて石油輸出国機構(OPEC)が減産に動いた場合、原油価格は2035年までに、現在の貨幣価値に換算して1バレル=100ドル程度に下落する見通し
一方、OPECが減産しなかった場合は、同年までに現在の貨幣価値に換算して83ドル程度にまで下落する可能性がある。
これは、米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が示している2035年の実質ベースでの予想価格133ドルを50ドル下回る水準。
ホークスワース氏は
「インドや日本など原油の大規模な純輸入国では2035年までにGDPが約4─7%押し上げられる可能性がある。
一方、米国、中国、ドイツ、英国のGDPは約2─5%増加するとみられる」
としている。
*見出しの表記を修正して再送します。
』
『
ロイター 2013年 04月 1日 15:01 JS
http://
jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE93003U20130401
アングル:
豪シェールエネルギー開発、高コストの天然ガスから原油にシフト
[パース 1日 ロイター]
オーストラリア内陸部の奥地でシェールエネルギーの開発に取り組む企業は、
天然ガスよりも採掘が容易で開発コストも安い原油に狙いを絞っている。
当初は米国のシェールガス・ブームの再来が期待されたが、
シェールガス開発の副産物だったシェールオイルの方が経済性に優れ、魅力が高いようだ。
天然ガスは国内消費市場の規模が限られる上、
パイプラインの敷設にコストが掛かり、輸出には液化プラントが必要となる。
一方、原油はトラックで鉄道や港湾まで輸送が可能なため、手っ取り早く利益が手に入る可能性がある。
大規模な埋蔵地が見つかれば、
10年以上にわたって減少傾向が続くオーストラリアの原油生産が上向くかもしれない。
オーストラリアは従来型天然ガスやコールシームガス(炭層ガス)で十分な埋蔵量があり、
2020年末までに最大の液化天然ガス(LNG)輸出国となる見通しだ。
大量生産で天然ガス価格の急落を招いた米国型開発モデルは魅力に乏しい。
リンク・エナジーのマネジングディレクターのピーター・ボンド氏は
「原油は簡単だ。
開発地から港までの輸送費が1バレル当たり5─6ドルで、原油価格は100ドル強であり、難しくない」
と述べた。
同社は最近、開発地の埋蔵量が米国のバッケンのシェール層に匹敵するかもしれないと発表したばかり。
オーストラリアがシェールガスやシェールオイルで大規模な生産国となる可能性を秘めているかどうかは、まだはっきりしない。
国内のエネルギー業界は、大規模な商用生産は最長で10年先と見込んでいる。
しかしリンクのような新興勢力からの楽観的な見通しの公表はとどまるところを知らず、
同社はオーストラリアのシェールオイル埋蔵量がほぼサウジアラビアの埋蔵量に匹敵する2330億バレルに達する可能性があるとしている。
もっとも同社はこのうち採掘可能なのはわずか35億バレルにとどまると試算した。
リンクのような開発業者にとって、シェールエネルギーの発見で2014年の原油生産が26年ぶりの高水準になると予想される米国の事例は素通りし難い。
ニュー・スタンダード・エナジーとブル・エナジーは北西部の砂漠地帯にあり、エネルギー関連インフラを持たないカニング盆地での開発について、天然ガスではなく原油を目指すと発表した。
ニュー・スタンダード・エナジーのディレクター、サム・ウィリス氏は電話インタビューで
「天然ガスの採掘で原油が出れば、その原油・ガス田の経済性は大幅に高まる。
天然ガスは主な収入源というよりも副産物になっている」
と話した。
(Rebekah Kebede記者)
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【気になる-Ⅴ】
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